値動きの激しいビットコインの価格は、2月には1万ドルを超える場面もあったが、新型コロナウイルスの感染拡大による市場の混乱のなかで、一時的に4000ドルを下回った後、3月15日時点で5000ドル台に値を戻した。
今回の暴落に先立ち、英国イングランド銀行(中央銀行)の新総裁に任命されたアンドリュー・ベイリーは、ビットコインへに投資する人々は「全ての資金を失うことも覚悟せねばならない」と述べていた。
「ビットコインの価値は保証されていない」と、ベイリーは3月5日、財務省特別委員会で発言していた。彼は3月16日にイングランド銀行の新総裁に就任した。
「ビットコインに投資してもかまわないが、そこには本質的な価値が存在しないことを理解しておくべきだ。ビットコインは外因性の価値を備えているかもしれない。しかし、本質的な価値は備えていない」とベイリーは話した。
2013年から2016年にかけてイングランド銀行の副総裁を務めたベイリーは、以前からビットコインや仮想通貨に対し否定的スタンスをとってきた。2017年に彼は「ビットコインは通貨ではない」と述べ、「価格の変動が非常に激しいコモディティであり、そこに投資を行うことはギャンブルのようなものだ」と話していた。
今回のビットコイン価格の暴落は仮想通貨コミュニティ内部にも混乱をもたらした。ベテラントレーダーのピーター・ブラントは、「ビットコインの価格が今後、1000ドル以下になる事態もあり得る」とツイッターで述べた。
さらに、仮想通貨投資会社ギャラクシー・デジタル創業者のマイク・ノボグラッツも、ビットコインに対する信頼感が消え去ることを懸念していると述べた。
今回のビットコインの急落は、新型コロナウイルスの感染拡大による市場の混乱に続き、原油価格も急落したことで、リスク資産全般に対する警戒感が高まったのが原因だとされている。
一方で、イングランド銀行の新総裁に就任したベイリーは、彼のリーダーシップのもとで迅速な対応を行い、市場の混乱を和らげると述べた。