最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介

IT(情報技術)による教育サービス「エドテック」業界は、理想主義的で収益性が乏しく、企業価値も低い会社が多い。しかしレイチェル・カールソンのギルド・エデュケーション(以下ギルド)は違う。2019年の売り上げは5000万ドル以上を見込み、企業価値の推計は10億ドルを超えて、ユニコーン入りを果たした。何がほかのエドテック企業と違うのか。その秘密は、「大学」が同社に対価を支払うという、同社のビジネスモデルにある。

コロラド州デンバーにあるギルドは、カールソンの画期的なアイデアをもとに2015年に設立。多くの大手企業には社員が学ぶ教育費の補助制度がある(税控除にもなる)が、実際にはほとんど使われていないことに目をつけた。

コース申請は面倒で、多くの場合、社員が費用を最初に立て替えなければならないからだ。

一方で、多くの学校は収入を学費に依存しており、生徒の獲得に必死だ。あるオンラインプログラムは1人の生徒の募集に3000ドル以上を費している。

そこで、ギルドは、学校から生徒を探す費用(金額は明らかにしていない)を受け取り、パートナー企業の社員を生徒として紹介しているのだ。

反対に、ギルドのライバル社の多くは、企業から手数料をもらっている。

ギルドの素晴らしさは、インセンティブの働きに合致しているところだ。つまり、学校により強い財務的な動機付けがあるので、学校が支払うのだ。

米国南部のアーカンソー州。サンクスギビングデーの祝日の2日前、朝9時。世界の小売最大手、ウォルマートの幹部たちが集まった。同社のワークフォース・マネジメント戦略部長は、5,000もの薬局と3,400の眼鏡・コンタクト店と配置する、有資格者の確保に苦渋していた。同社の幹部が押し黙る中、カールソンはためらうことなく「一緒にやりましょう」と呼びかけた。

カールソンは言う。「私たちは、会社の目標と働き手のゴールの達成の手助けを合致させる、ウィンウィンの関係を見つけたのです」。


Rachael Carlson◎スタンフォード大学卒。同大でMBAを履修中だった2015年に、同級生のブリトニー・スティッチとギルド・エデュケーションを共同創業。米Forbes誌の2017 30UNDER30に選出される。祖父はコロラド州知事を3期務め、父親も元上院議員という、政治家一家に生まれた。

文=アレクサンドラ・ウィルソン、スーザン・アダムズ 写真=ジャメル・トッピン

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