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フォーブスジャパン編集部


舩後は、ALSを発症した当時の心情を『闘う俺の子守歌』という自作の歌(歌・演奏:則清)に綴っている。「憐れみなんかやめてくれ/俺は俺を生きている/例え哀しくとも/辛くとも」という歌詞からは、心の叫びが聞こえてくるようだ。

舩後はやがて全身麻痺になり、人工呼吸器や胃ろうを装着するようになってからは、歯で噛むセンサーでパソコンを操作して、詩歌や童話などの創作活動を続けている。それだけでなく、再び働くことにも意欲を燃やし、訪問会議会社の相談役や小規模作業所の運営会長、大学の研究員なども務めることになった。

舩後は2003年から8年半、身体障害者のための療護施設に入居していた。その間から社会復帰への歩みを進めてきたが、一部の職員からは精神的虐待や間接的な肉体的虐待を受けていた。

閉鎖的な施設で差別を受ける日々に嫌気がさし、舩後はある決断をした。2011年11月から施設を出て自立生活を始めたのだ。以下の2つの句は、そのときの意気込みを示す短歌だ。

「施設から逃げる算段整えば 布団の下で笑みがあふれ出」

「新天地意気揚々と到着す 維新の志士の気分になりて」

この短歌からは、一歩を踏み出そうとする喜びと決意が感じられる。その日から看護・介護サービス会社「アース」の佐塚みさ子代表が介助を担当している。国会などで、舩後議員の意見やスピーチを代読する佐塚の姿を見たことある人もいるのではないだろうか。


れいわ新撰組の木村英子議員と山本太郎代表とともに。2020年1月20日通常国会開会日の議員総会

使命感のある障害者の「ウサギとカメ」現象


「使命を持った障害者が引き起こす『ウサギとカメ』現象」と舩後が呼ぶ現象がある。

「自分の人生が、自分に何をやらせたくて(こんな)障害をもたせたか」を自身に問うた障害者の人は、使命感を持って自立生活の指導者になる。そして、そんな人たちは「ウサギとカメ」の現象を引き起こすという。

この場合のカメは障害者、ウサギは健常者を指すというのだ。カメのようにコツコツと歩んできた障害者の人は、社会貢献という面で、ウサギ化した健常者を追い抜き進んでいく場合があると、舩後は語る。だからこそ、舩後は「障害者が健常者との距離を縮めるため、自立生活を営むこと」に熱い思いを持つ。

文=督あかり 写真=本人提供

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