京大、東大、そして「LINEで漢方処方」起業。女性薬剤師の『ある決意』

「わたし漢方」創業者/薬剤師 水沼未雅さん


──あなたにとって理想の仕事とは?

生理に振り回されて、1カ月に1週間つらい思いをする女性が多く、それは生活する上でのハンデになります。更年期もそうです。私にはそういうことから女性を解放したい思いがあります。

体調が悪いとそっちに気持ちが引っ張られて100%集中できない。せめて体調のハンデから解放されて最大限のパフォーマンスで生活できることにコミットすることです。身体とメンタルはつながっています。日々の生活からストレスを受けると、身体に悪影響を及ぼします。でも、生活から完全にストレスを排除することは無理なのです。だから、ストレスがあることを前提に、漢方というツールで、いかに身体を守っていくかを提案していきたいです。

漢方は、それぞれの人のタイプにより選べる。そして、それがパチッとハマると体調がよくなるのです。身体の調子が良くなればメンタルも落ち着き、快適に仕事ができるようになるだけでなく、お通じもよくなる、むくみにくくなる、よく眠れるようになるなど生活全体のパフォーマンスが向上するのです。体調が悪いと、仕事だけでなく、生きることの足かせになる。自分がやりたいことに全力投球できるような生活に、コミットする手助けができたらうれしいです。

そもそも、好きで楽しいことでないと続けられない


──今の仕事をしていて、うれしかったことは?

お客様が「わたし漢方」で体調が良くなったとコメントをくださるときです。冷えで長年悩んでいた方が、カイロがいらなくなりました!とコメントをくれたり、妊活で悩んでいた方が妊娠したと連絡をくださったりすると、やっていて良かったなと感激します。そして、漢方の効き目を感じてくださった方々が、そのご家族やお友達にすすめてくださったりすることもうれしいですね。漢方は、人生の小さな一側面にすぎませんが、それが与えてくれるインパクトが大きいということが、お客様の反応から伝わってくるのです。

──これまで人生で影響を受けたもの、人、本などは?

高校生のときに先生が「勉強ができるんだから京大に行け!」と言ってくれたので、京都大学の薬学部に行きました。そのまま大学院に行くつもりだったのですが、脳科学の本に偶然出会い、衝撃を受け、その著者の方が東京大学薬学部の先生だったので、大学院は東京大学に行きました。前職のコンサルティング会社も薬学部の友人がきっかけで就職しましたし、「わたし漢方」も前職の先輩の影響で始めました。こんな感じで、いい意味で人に影響されやすい人間なので、楽しそうな方、興味がある方に流されやすいのかもしれません(笑)。

──これから何かを始めたい人へのアドバイスは?

「何かしたい!」と思ったら、やったほうが良い。意外となんとかなるものです。私自身、起業してからいきなり妊娠がわかり、忙しい最中に出産しました。会社を立ち上げたばかりなのにどうしよう!?と焦りましたが、意外となんとかなるものです。女性は自分でなんとかしなくちゃと抱え込む人が多いのですが、もっと周りを頼ってよいのです。

私は、朝4時起きして0時以降に寝るようなスーパーワーキングマザーとは程遠い生活で、18時には仕事をバサッとやめて、子供との時間を過ごすようにしています。そんな生活を送っている私でもできるのですから大丈夫。そもそも、好きで楽しいことでないと続けられないと思います。好きじゃないものに時間を割きたくないし。こんなふうにワガママでよいのだとも思います。そして、なにより、身体が資本です。健康第一で、やりたいことを、好きなようにやるのがよいと思います。


水沼未雅◎「わたし漢方」創業者/薬剤師。兵庫県出身。京都大学薬学部卒業後、東京大学薬学系研究科で博士号を取得。外資系コンサルティング会社勤務を経て、LINEで漢方相談・購入ができる「わたし漢方」を創業。漢方をツールに女性の体の悩み相談に応じている。「わたし漢方」の漢方相談窓口はLINEから@watashikampo

ForbesBrandVoice

人気記事