レストラン広報から書籍PRへ。「ヒットにつながるパブリシティの真髄」を求めて

本しゃべりすと/書籍PR 奥村知花さん

「働き方改革」に「副業元年」、仕事を取り巻く環境は、驚くほど変化を遂げている。働き方も職種もダイバーシティの時代となり、もはや、仕事=その人の生き方といっても過言ではない。なかでも女性は、結婚、出産、育児とライフステージが否応なく変わることもあり、しなやかに、粘り強く、時にパワフルに、自分らしい働き方にたどり着いた方が多いように思う。

2020年1月に出版された『これが私の生きる道! 彼女がたどり着いた、愛すべき仕事たち』(世界文化社刊)では、自分らしい幸せな仕事や、固定観念にとらわれない柔軟な働き方を見つけた女性33名にインタビューを行っている。本書の中から、書籍PRとして活躍されている奥村知花さんのお話を紹介する。


──あなたのお仕事は?

書籍PRという肩書でお仕事をしています。つまり、書籍専門の広報のこと。ひとくちに広報といっても、広告や宣伝など広義を含みますが、その中でも私が請け負っているのは、パブリシティといわれる部分。TV・ラジオ・新聞・雑誌・ネットなど、いわゆるメディアと呼ばれる媒体に担当する書籍を売り込み、番組や特集でご紹介いただくことで、本と読者の出会いの場を増やすのが仕事です。

広告や宣伝とは違い、対価を支払って露出してもらう性質のものではありません。メディアに対して一切お金を支払わずに有益な情報として取り上げてもらえるよう、企画として本を売り込みます。

クライアントとなる出版社とは年間契約、もしくは単発での依頼の場合は3カ月単位で活動費をいただいています。


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──この仕事を始めた経緯は?

ただタイミングと人の縁にまかせて、ヤシの実のように流れ着いたというのが正直なところです(笑)。この仕事を始めた16〜17年前は、それこそ書籍PRという職業があることすら知らなかったのですから。

当時の私は、会社員として、レストラン経営会社の広報を担当していました。ところが、就職して3年近くがたち、仕事も軌道に乗り始めた矢先、突然、他社へのM&Aが決まってしまったのです。別のPR会社へ転職するか、買収先の企業に移るか悩んだ揚げ句、後者を選択したのですが、あまりにも企業文化が違いすぎて、たった2週間で退職を決意。

そんな私に「書籍PRをしてみないか?」と声をかけてくださったのが、アップルシード・エージェンシーという、作家のマネージメントをする会社の代表、鬼塚 忠さんでした。鬼塚さんとは、レストラン広報時代からのお付き合いで、プライベートでもいろんなお話をする間柄。私の読書好きを知って、「奥村さんのような人が本のPRをしてくれたらいいのに」と密かに思っていてくださったらしいのです。こうして、私の書籍PRとしての人生が始まりました。
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編集=石井節子

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