影響は俳優や監督、撮影関係者だけでなく新作を待ち望む消費者にも及びそうだ。実写版映画の「リトル・マーメイド」や、CBSの人気ドラマ「グレイズ・アナトミー 恋の解剖学」の新作の公開スケジュールにも遅れが生じる。
製作中の映画ではギレルモ・デル・トロ監督の「Nightmare Alley」やリブート版「ホーム・アローン」、実写版「ピーターパン」、「ミクロキッズ」の最新作、「シャン・チー&ザ・レジェンド・オブ・ザ・テン・リングス」の製作が中断となった。
テレビ業界では「グレイズ・アナトミー」のほか、アレサ・フランクリンの生涯を描いた「Genius : Aretha」などが公開延期となっている。
ネットフリックスもドラマや映画の製作中断をアナウンスし、「ストレンジャー・シングス」や「グレイス&フランキー」の最終シーズンの公開が先送りになった。アップルも「ザ・モーニング・ショー」の撮影を中断した。
NBCユニバーサルやCBS、ワーナー・ブラザースは現時点では製作の中断を宣言していないが、今後は多数の新作の公開スケジュールが遅延しそうだ。
映画やストリーミング大手が2019年にオリジナルコンテンツ製作に注いだ費用は、合計で1210億ドルに達するとされる。そのうちディズニーが278億ドル、ネットフリックスが150億ドルだった。ネットフリックスは今年、170億ドルをコンテンツ製作に投じる予定だったが、製作の中断が相次ぐなか、この金額は当初の想定を下回りそうだ。
各社の撮影再開のめどはついておらず、期待されていた新作の公開が数カ月遅れになることも予想できる。ストリーミング事業者は新作の公開本数を減らすことになり、映画館の収益にもダメージを与えるだろう。長期的には広告企業の収益に打撃を与えることも十分想定できる。