東京慈恵会医科大学教授


家から一歩もでず、いわゆる外出自粛を徹底して誰とも会わなければ、「距離」「会話」「時間」をゼロにでき、二次感染は止まる。

実際に、海外では外出自粛と地域封鎖に乗り出した国もある。しかし、これはあくまで最終手段であり、出来るだけ避けるべきである。何故なら感染拡大を食い止められたとしても社会全体が沈滞してしまうからだ。

では、社会経済活動をなんとか維持しながら感染拡大を食い止めるちょうどよい落としどころはないだろうか。今までのクラスター(集団感染)事例が屋外でなく、密室であることを考えると、二方向の窓を開けるなどで風通しを十分にすることだろう。「空気」による因子をゼロにすれば、社会経済活動をある程度維持しながら感染拡大を食い止めることができるはずだ。

いま私達にできること


クラスター(集団感染)の発生のリスクを下げるための5つの原則

1.「空気(換気)」:窓のある環境では、可能であれば2方向の窓を同時に開け、換気を励行する。

2.「距離」:人が多く集まる場合には、会場の広さを確保し、お互いの距離を1-2メートル程度あけるなどして、人の密度を減らす。

3.  「会話」:やむを得ず近距離での会話が必要な場合には、自分から飛沫を飛ばさないよう、咳をする時は顔をそむけつつ袖で口を覆う。マスクがあれば正しく装着する。自分がウイルスキャリアとして感染源になるかもしれないからだ。

4.  「人数」:数十人など不特定多数が集まる場所はなるべく避ける。

5.  「時間」:病院や高齢者施設では長時間寝食をともにするので、上記原則をさらに徹底するべきである。対面で行わなくてはならない会議や商談も同様で、時間を短く切り上げると尚よい。

短期間でSARS を封じ込めたベトナム、シンガポールの事例でも判る通り、私は5原則の中でも「換気」を一番に推したい。イベントや会議、店舗でも、上記を企画者側が心掛け、参加者自身も注意すれば、二次感染が減り、出口が見えてくるのではないだろうか。

新型コロナの弱点は患者の2割しか他者に感染させていないところである。次の原稿でその詳細なメカニズムを説明するが、この2割の感染を完全にブロックできなくとも、半分に減らせるだけで、感染者数は減少に転ずる。十分に勝算がある戦略だ。

だれがウイルスをもっているかは判らないが、どこでうつりやすいかは判っている。であれば、社会経済活動を維持しながら、運営側はうつりやすい場所を作らない、参加者側は近づかなければ、感染拡大を阻止することができるはずだ。

ベトナムやシンガポールが院内感染対策として実施した「換気」を、新型コロナでは市中でやればよいだけの話である。また、国内で院内感染や高齢者施設でクラスターが多発するような事態が発生すれば是非とも思い出していただきたい事例である。

文=浦島充佳

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