空前のスキーブームの中国、2022年冬季五輪に向け準備を加速

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2022年の北京冬季オリンピックの開催を控える中国は、ここ数年、スキーブームに沸いている。中国政府はウィンタースポーツ人口を3億人に拡大する計画を打ち出し、新たなスキー場開発も各地で進んでいる。

ホテルや旅行業界、不動産事業者らもスキー分野からの多大な利益を見込んでいる。しかし、今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、ウィンタースポーツ業界は、多大なダメージを被った。英字新聞チャイナデイリーは先日、感染拡大が中国のスキー業界に与える損失は短期間で11億ドル(約1160億円)以上に達すると報じた。

業界のレポートによると、今シーズンに中国でスキーに出かけた人の数は昨年から約47%減少し、1100万人程度にとどまる見通しという。スキーのゲレンデ数も昨年の770面から今年は720面に減少した。

世界2位の経済大国に発展した中国では、中間層のスポーツ向けの支出が年を追うごとに増加している。中国にはNBAやNFLの熱烈なファンも多く、ナイキも売上を伸ばしている。

中国最大のスポーツアパレルメーカーでANTAのブランド名で知られる「アンタスポーツ(安踏体育)」はテンセントらと組んで昨年、欧州のウィンタースポーツ分野を代表するフィンランドの「アメア」を52億ドルで買収した。

しかし、新型コロナウイルスにより中国のスポーツ市場は今年、多大な損失を被った。チャイナデイリーによると、冬季オリンピックを控える北京市郊外のシークレット・ガーデンスキー場は、1億1000万元の損失を見込んでいる。同スキー場はマレーシアのゲンティングループの出資を受けている。

中国のスキー分野に出資する企業としては、大連一方グループ(Dalian Yifang Group)やチャイナ・バンカ(China Vanke)らが知らている。また、上海の復星国際集団の傘下にあるクラブメッドも、黒竜江省ハルビン市でヤブリ国際スキーリゾートを運営している。

中国のウィンタースポーツ需要は今後もさらに高まっていく見通しだ。新型コロナウイルスの封じ込めが終わり次第、現地企業らは2022年の冬季オリンピック開催に向け、準備を進めていくだろう。

編集=上田裕資

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