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2020.03.15

新型コロナがネットフリックスの業績に与える3つの打撃

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新型コロナウィルスの感染拡大は、ネットフリックスの事業にも悪影響を及ぼす可能性がある。多くの人は、テレワークや学校の閉鎖によって、自宅にこもりドラマや映画をイッキ見する人が増えると思いがちだ。しかし、新型コロナウィルスがネットフリックスにとって追い風になると考えるのは近視眼的だ。

他の多くの上場企業に比べれば、ネットフリックスが受けている影響は小さいように見える。しかし、ニーダムのアナリスト、Laura Martinは、同社の海外事業が大きな打撃を受ける可能性を指摘する。

ネットフリックスの料金は月額固定制のため、既存ユーザーの視聴時間が増えても業績が向上する訳ではない。また、新型コロナウィルスの影響が米国以上に甚大な国々では所得が減少し、解約する人が増加する。

さらに、同社のフリーキャッシュフローはマイナスで、格付けは「投機的」となっている。先行きが不透明な中、投資家は同社の資金調達力を懸念している。

ネットフリックスの米国での料金は、月額9〜16ドルと、他のストリーミングサービスに比べて割高だ。Martinは、同社がDisney+やApple+、Huluなどの競合に対抗するためには、広告つきの低料金プランを新たに加える必要があると指摘する。

競合各社は料金を月額5〜7ドルに設定し、一部メニューは無料で提供している。Martinは、ネットフリックスもこの水準に合わせる必要があるが、同社の財務体質では単純な料金引き下げに耐えられないため、広告を配信することを推奨している。

ネットフリックスは、これまで広告配信をしないと断言してきた。Martinは、資金力が豊富な競合他社の台頭により2020年末までに米国だけで約400万人のネットフリックスユーザーが解約すると予想している。

Martinが広告つきコンテンツの配信を推奨するもう1つの理由は、視聴時間が伸びるほど収益も増加することだ。2019年末時点でのネットフリックスの米国内ユーザー数は6100万人だった。これは、ストリーミングサービスを利用する家庭の75%を占める。つまり、新型コロナウイルスがストリーミング業界に追い風となったとしても、ネットフリックスがこれ以上ユーザーを増やすことは難しい。
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編集=上田裕資

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