ビジネス

2020.03.16 14:30

木村石鹸、ファンづくりの秘訣 合言葉は「ちょうどいい」

新國 翔大



もう一つ心がけているのは、「正直な」情報発信をすること。世の中を見ると、メーカー側が発信する情報には、過度に自社製品の良さをアピールしたり、安全性を訴えるために他を否定したりする「ポジショントーク」がまだまだ多いと木村氏は感じている。

木村氏「科学的に不確かな情報をもとに商品を選ばれてる方って、実はすごく多いんです。でも、製品をつくる以上は良い面も悪い面も必ずある。メーカーはその両方を、お客さまにきちんと伝えないといけない。

なので木村石鹸では、できるだけ客観的で正確な情報を提示するようにしています。そのうえで、納得して選んでいただけるような商品を開発しているんです」


洗濯槽、排水溝などニッチでベーシックな洗剤をラインナップした『C SERIES』

“いいやつだよね”と言ってもらえる会社に


こうしたモノづくりの姿勢への共感から、確実にファンを広めてきた木村石鹸。売上も順調に伸びていくなかで、自社ブランドの展開を機に、明らかな変化が起きてきたという。

新しい取引先などから、OEM開発の話が舞い込むようになったのだ。

木村氏「私たちの取り組みを知って、『木村石鹸と何かしたい』と言っていただくことが増えてきました。店舗でSOMALIなどを扱ってくれていた中川政七商店さんと、オリジナルのキッチンソープをつくることになったり、大手通販会社さんと新しいOEMを始めたりと。『木村石鹸とやることがおもしろそう』と期待いただいてるのが、ありがたいですね」



木村石鹸に惹かれてくる顧客、そして取引先。彼らの想いをひも解くと、同社が発する雰囲気、企業やブランドとしての“キャラクター”への共感から、両者の関係が生まれているように感じる。

その正体はどこにあるのか。自身が考える「木村石鹸っぽさ」について伺ってみると、木村氏は次のように明かしてくれた。

木村氏「すごく伝え方が難しいんですけど……木村石鹸って、“いいやつ”なんだろうなと思っていて(笑)。人だったら明るくて前向きで、悪口を言わなくて、かといって全員に良い顔しているわけでもなく、自分のポリシーは持っている。そんなキャラクターですね。

結局、いろんな要素を踏まえて『木村石鹸っぽさ』って判断されてると思うんです。それは単にバランスのよい製品づくりだけじゃなくて、にじみ出る“ちょうどよさ”だったり、正確な情報発信をするという姿勢だったり、あるいは社員のちょっとした行動かもしれない。

すべてを踏まえて『なんかいいやつだよね』と言ってもらえるのが木村石鹸のキャラクターなんだと思いますし、これからもそう思われる会社でいれたらと考えています」

執筆/佐々木将史 編集/庄司智昭 撮影/其田有輝也

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