さらば乳がん、とする。|乳がんという「転機」#13

北風祐子さん(写真=小田駿一)


小林麻央さんのブログから引用したい。

「良い方をみてしまうとき、私は、なぜここまでにならなければならなかったのかな、と思うことがありました」

「でも、いつからか、私はここまでになる必要があったんだと思うようになりました。そう思えるときの穏やかさは魂が納得しているのだと感じます。魂って自分が思っているよりずっとずっと自分にロマンをもっているのでしょう。だからしんどくて寝ているときは小さい小さい世界に閉じ込められてるみたいに感じますが、実は逆で、魂は壮大な浪漫飛行中なのでしょうね」

私は、この病気を通して、気持ちよりも心よりもさらに奥にある魂が存在していて、それが揺さぶられる、という感覚は体験した。が、その魂が納得する境地、納得した魂がもたらす「穏やかさ」までは、想像できなかった。

麻央さんの苦痛が少しでもやわらいでほしいと、心の底から思っていた──。


がんの確率、ほぼ100%──|乳がんという「転機」 #1

私はまるで、使い捨てカイロだ。|乳がんという「転機」 #2

ベリーショートの智子がたんぽぽの種に例えた「転移」|乳がんという「転機」 #3

人生最悪の10日間、見えてきたもの|乳がんという「転機」#4

「全部いりません!」初診の日、全摘を確認|乳がんという「転機」 #5

乳がん告知。がっつり生きよう。もっともっともっと|乳がんという「転機」#6

左胸に、さよならを。幸せな人生とは何か|乳がんという「転機」#7

手術。体感時間1分。甘かった…|乳がんという「転機」#8

乳がん初動のイロハ、書かなきゃ|乳がんという「転機」 #9

退院。そして事件は起きた|乳がんという「転機」 #10

赤黒い傷のインパクト。傷口のケア、心をかけて、手をかけて|乳がんという「転機」#11

這ってでも会いにいけばよかった|乳がんという「転機」#12



連載「乳がんという『転機』」。筆者は電通 チーフ・ソリューション・ディレクターでForbes JAPANオフィシャルコラムニストの北風祐子さん。

初動から立ち直るまでのブログ的記録。11人に1人が乳がんになる時代、大親友がたまたま医師だったおかげで筆者が知ることができたポイントを、乳がんの不安のある女性たちやその家族に広く共有し、お役に立てていただけたらと考えています。

連載はこちら>>

文=北風祐子、写真=小田駿一、サムネイルデザイン=高田尚弥

タグ:

連載

乳がんという「転機」

ForbesBrandVoice

人気記事