マレーシア航空機失踪の謎を宇宙から解き明かす「衛星企業」

(C) Capella Space

カリフォルニア州で設立された衛星企業「カペラ・スペースCapella Space」は、小型衛星を用い、宇宙から見た地球の画像をリアルタイムで届けることを目指している。

同社がロケットラボと共同で打ち上げる小型衛星は、合成開口レーダー(SAR)を採用しているため、気象条件や昼夜を問わず、詳細な地上の画像を取得することが可能だ。

カペラ・スペースの共同創業者でCEOのPayam Banazadehは、2017年のフォーブスの「30アンダー30」に選出されていた。Banazadehが同社を立ち上げたきっかけの1つは、2014年に発生したマレーシア航空370便の失踪事件だったという。

239人の乗員乗客を載せた370便はベトナム南部を飛行中に突如消息を絶ち、後にインド洋で残骸が発見されたが、事故の真相は航空史上最大の謎とされている。

Banazadehは航空機の残骸の発見が困難な理由を次のように説明する。「地球の半分は夜で、残りの半分も多くの場合、雲に覆われている。つまり、地球の表面を空から観察しようとしても75%の確率で、夜や雲に邪魔されることになる」

カペラ・スペースは年内に6回の衛星打ち上げを予定しており、複数のSAR衛星の組み合わせることで、夜間や悪天候の状況下でも詳細な地上画像を取得可能にする。

この分野には複数の競合企業があるが、カペラ・スペースは撮影エリアを限定し、高解像度の画像を迅速に顧客に届けることを目指している。同社の打ち上げミッションは、ライドシェア型の衛星打ち上げを手がけるロケットラボが実施する。

現在、85人の従業員を抱えるカペラ・スペースは、半年以内に追加で60人を雇用する計画だ。サンフランシスコに本拠を置く同社は、コロラドにも拠点を構え、リモートで働く社員は全世界に点在する。カペラ・スペースは累計8000万ドル(約83億円)以上を複数の資金調達ラウンドで調達している。

編集=上田裕資

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