・中国、武漢から広がった新型コロナウイルスの影響により、工場が操業を停止
・中国の2月上旬の自動車販売は92%減少
・供給不足が自動車生産に悪影響を及ぼしており、その影響が世界中に波及
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散防止を図って、中国全土で実施された先の操業停止後、同国の企業は営業再開に取り組んでいます。しかし、新型コロナウイルスの大流行による経済的影響は拡大を続けており、これが中国の自動車部門に大きな損害を残すことは、間違いありません。
落ち込む中国の自動車生産台数
中国は世界最大の自動車市場であり、大流行の中心となった武漢は「自動車のまち」として知られる都市です。ゼネラルモーターズ、ホンダ、日産、プジョーグループ、ルノーなどが、武漢に自動車工場の拠点を置いています。
ホンダだけでみても、武漢は中国における生産全体のおよそ50%を占めています。また、武漢を省都とする湖北省は、自動車生産において中国で第4位(2019年)で、中国の自動車生産能力の約10%が同省に所在し、その生産車両台数は224万台にのぼります。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国的に実施された一連の操業停止で、中国全土の多くの自動車会社も閉鎖しました。湖北省に拠点を置く自動車会社だけでなく、例えば上海にあるテスラの新工場も操業を停止。同社のモデル3の生産期日は延期を余儀なくされました。フォルクスワーゲンも、SAICとのパートナーシップのもとで運営する、中国の全工場で生産を延期しました。
主にこの影響で、中国乗用車協会(CPCA)のデータによれば、中国の自動車販売は2月上旬に92%の落ち込みとなりました。中国の自動車製造業者協会は先ごろ、今年上半期の自動車販売が10%減少し、今年通年では5%減少するとの予測を示しました。またIHSマークイットは、多くの工場が3月中旬まで操業を停止した場合、中国の自動車生産台数が170万台減少しかねないとの見解を示しています。
多数の労働者が感染防止のため自宅に隔離状態となり、供給ラインに影響しています。こうした中、多くの工場は操業再開やフル操業への復帰に向け、苦戦しています。湖北省は、重要度の低い業種の操業停止を3月11日まで延長する予定だと発表したほか、毎年北京で開かれる中国のモーターショーも、当初4月21日に開催が予定されていましたが、延期が決定しています。これらは一例に過ぎず、新型コロナウイルスの流行を受けて多くのイベントが取りやめ、または延期される事態となっています。