国際モータージャーナリスト「ライオンのひと吠え」

(C)ホンダ

今年のF1選手権は、新型コロナウイルスの影響でどうなるかわからない。ちょうどこの記事を書いている最中に、オーストラリアで映画の撮影中の俳優トム・ハンクスの陽性が明らかになった。その翌日、3月13日から同国で開催される予定だったF1開幕戦は、当日に中止が決まった。

ということで、今年のF1シーズンの出だしはあまり喜ばしくないけれど、シーズン前の成績が良かったホンダは、今年もトップ争いに加わると思われる。今週のコラムでは、ホンダの健闘をフィーチャーしようと思う。

2019年は、レッドブルF1と組んだエンジンの供給者として、ホンダの輝かしい1年だった。しかしそのわずか数年前、マクラーレンとのタイアップで参戦していた2015年から17年までの3年間は、悲劇と表現するしかなかった。それが、2019年の3回の優勝で、すっかり汚名を返上した。



実は1988年から1991年まで、マクラーレン・ホンダF1は、4回もコンストラクターズ・チャンピオンシップとドライバーズ選手権を獲得し、F1界の表彰台を独占する時代だった。2015年に両社が再び組んで参戦すると発表された時、レース業界は大騒ぎし、フェルナンド・アロンソ選手がホンダのマシンに乗りたくてフェラーリから移籍するほどのインパクトがあった。

でも、希望は結果につながらなかった。なぜかホンダのエンジンはトップと争えるほどのパワーを生み出せなくて、新時代のマクラーレン・ホンダは一回も表彰台には乗らなかった。

しかし、その翌年の2018年、ホンダはチーム・トロロッソにエンジンを供給し、バーレーン決勝で4位、モナコで7位などそこそこ良い成績が残せた。その可能性を認めたレッドブルが2019年にホンダと契約し、なんといきなり3回も優勝し、強豪メルセデス、フェラーリと並ぶほどのパワーが発揮できた。また、トロロッソも2回も表彰台に立った。

2020年には、昨年よりもさらにパワーアップし、シーズン・チャンピオンシップが獲得できるほどの自信があるそうだ。

というのは、スペインのサーキット・デ・バルセロナ・カタルニヤで開催されたシーズン前の冬テストでは、レッドブルのマックス・フェルスタッペン選手がメルセデスのボッタス選手とほぼ同じ最速ラップタイムを叩き出し、今年のレッドブル・ホンダの可能性を見せつけた。また、同チームの技術担当のマーク・ヒューズによると、今年のレッドブルはマシンの空力性能が優れており、メルセデスのコーナリング・スピードとほぼ同様だという。

つまり、今年のホンダのパワーユニットはかなり強く、しかもドライバーのフェルスタッペンやアルボンも、「メルセデスやフェラーリのエースについていける」とレッドブルの関係者はいう。

しかし、コロナウイルスの影響で、F1初戦の数レースが中止、延期されたり、無観客開催なる中で、今年は彼らは何回、観客の前で走ることができるのだろう。力強くカムバックしてきたホンダの健闘を出来限りのレース・ファンに見て欲しい。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター・ライオン

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