グルメ層を虜にするフードロス対策・生ゴミ活用
フレンチレストラン「élan」とカジュアルダイニング「EUREKA」はキッチンを共有。その意図は?
「GYRE.FOOD」はフレンチレストラン、カジュアルダイニング、カクテルバー、グローサリーショップ、イベントスペースという業態の異なる5つのパーツで構成される。そして、これらが連動しながら「循環」を成立させる。
たとえば、コース1万5000円〜のフレンチレストラン「élan(エラン)」の信太竜馬シェフは、コース2000円代〜のカジュアルダイニング「EUREKA(ユーリカ)」のメニューも監修しており、実は両店はひとつのキッチンを共有。食材は「élan」で使用できない部分を「EUREKA」で活用して提供するという、日本のトップシェフによるフードロスをなくす取り組みが行われている。
「EUREKA」のメニューの表紙。「ユーリカではお食事をされる全てのお客様に小さなスープを召し上がっていただきます。調理する際に生産される屑野菜や通常お客様には出すことのできない魚や肉の端も含まれています。全ての食材の命とその命を育んできた自然と人への感謝を忘れることがないための我々のメッセージです」
さらに、この2つの飲食店で出てくる「生ゴミ」は、「eatrip」を主宰する料理人・野村友里さんが厳選した商品を販売するグローサリーショップ「eatrip soil」に併設されたテラスで、彼女の手作業によってコンポスト(有機物を微生物の働きで分解させて堆肥にする処理方法)され「美味しい食物が育つ土」となる。
レストランから生まれた生ゴミを乾燥中。上質な土の材料となる
そして、完成した「土」は商品としても販売。家庭栽培を楽しむ生活者など、食材にこだわる人々の間で人気となっている。
GYRE.FOODで出た生ゴミは、日本初のコールドプレスジュース専門店「Sunshine Juice」が主体になって取り組むプロジェクト「Cosmic Compost」と連携し、ジュース残渣などと合わせて堆肥化。グロッサリーショップ『eatrip soil』で販売している
東京のど真ん中。地球環境を考慮した実験的な「循環」モデルが、美食家たちを楽しませる「美味しい形」で実現されているのだ。