床、壁、天井、テーブルも地球に還る「土」。表参道でサステナブルな美食体験「GYRE.FOOD」

「GYRE.FOOD」総合ディレクターの平尾香世子さん(右)と、全体コンセプターの野村友里さん(左)。イベントスペースの階段型座席にて

東京で発見した「都会テイストのソーシャルビジネス」を取り上げ、これからの時代に業界を問わず必要となる「企業・消費者・社会の共栄」を実現させるヒントをご紹介しようという本連載。

第2回は、表参道の商業施設「GYRE」4Fに存在する“循環”をコンセプトとした食空間「GYRE.FOOD」をピックアップ。総合ディレクター・平尾香世子さんのもと、食にまつわる様々な活動を行う「eatrip」を主宰する料理人・野村友里さんが全体コンセプターとして、世界的建築家・田根剛さんが空間コンセプターとして、他にも話題のバーを多数手掛ける田中開さん、銀座の二つ星フレンチ「ESqUISSE(エスキス)」で腕を磨いてきたシェフ・信太竜馬さんなど、錚々たるメンバーが集い、今年1月に誕生した1フロア1コンセプトで展開する1000平方メートルの新スペースである。

GYRE FOOD

床、壁、天井、テーブルまでもが地球に還る“土”

「SHOP&THINK」──。世の中への影響を考えた消費活動を。商業施設「GYRE」が2007年の誕生時から変わらず発信し続けているメッセージである。

そして2020年を機に、その考えをより強く、生活する上で欠かせない「食」を通して体験できる場所として作られたのが、「循環」をコンセプトに掲げたこの「GYRE.FOOD」だ。

GYRE FOOD
建築家・田根剛さんが設計した「GYRE.FOOD」内観

表参道ヒルズの向かい。1Fに入居するCHANELが目を引く「GYRE」だが、4Fまで上がった途端、別世界に紛れ込む。店舗ごとの境界のない1000平方メートルの食空間は、床、壁、天井、テーブルまでも全てが「土」。「循環」をテーマに空間設計を手掛けた建築家・田根剛さんの哲学が表現されている。「未来の都会では、役目を終えた建物は土に還り、遺跡になる。それがあるべき姿かもしれない」

この空間に足を踏み入れるだけでも地球に想いを馳せる十分なきっかけとなるが、フロアコンセプトである「循環」の本質は、ここでの食体験によってより深く感じることができる。
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文=黄 孟志、写真=巻嶋 翔

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