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アメリカの大学で医療を学びながら学生で起業した会社はモバイルゲーム会社だった。その会社を早々に売却し、経営者として華々しいスタートを切った井原正隆。手痛い失敗を経て、なお衰えない発想力と実行力でブランドコントロールを牽引する。


「できる男の朝は早い」と朝活ブームが続いているが、ブランドコントロールの井原正隆代表の流儀はやや異なる。就寝はなんと朝の7時。「だから、朝に会議が入るとつらいですね」と井原は笑う。

「常識外れ」という言葉がここまでに似合う男も珍しい。医師の家庭に生まれ、本人いわく「世界中のボンボンが集まる大学」であるアメリカの南カリフォルニア大(USC)医学部に入学。しかしプロゲーマーに憧れていた井原は、在学中に仲間たちとモバイルゲームの会社を起業する。

数年でゲーム会社に売却し、20代にして大きな資産を手にした。その後帰国してアクセンチュアで2年ほど勤務した後、再度ゲーム会社を立ち上げるも事業に失敗。1億円の負債を背負う。

「世界のどこにもないゲームを作って業界を引っ張ってやろうと意気込んでいたのですが、見事に失敗(笑)。『自分はなんでもできる』という万能感に酔っていて、いいものを作れば客はついてくるという考え方になっていたんです。大いに反省して、今度は社会から求められているサービスをやろうと思って始めたのがネットのレピュテーション(風評被害)マネジメントサービスでした」

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「トップレベルのゲームプレイヤーは、ゲームのルールの中での最適解を見つけることに長けている」と語る井原。目的を達成するための、常識にとらわれない発想と、論理的思考力を併せ持つ。笑顔とユーモアを絶やさず、人好きのする一面も覗かせる。

何より大切なブランド価値を守るサービス

BtoB向けの事業を構想していた井原は、四季報をパラパラ眺めながら、「会社が一番お金をかけているのは何だろう」と考えていた。行き着いた結論が「会社の価値、人事、広告宣伝費」、つまりヒューマンリソースやマーケティングである。そこに食い込むサービスを考えたときに思いついたのが「ブランドセキュリティ」だった。

「ブランドにはとてつもない価値があります。例えば超高級ブランドのダイヤの指輪が500万円するとします。でもダイヤの原価は90万円くらいだったりするわけです。この約400万円の上乗せがブランドの価値なのです。しかし、そのブランド価値がネット上の根も葉もない噂により、毀損することもあるのです」

フェイクニュースの拡散速度は、ファクトベースの情報の20倍早いとも言われるが対策は十分ではない現状があった。

「自分一人で事業をスタートさせました。大企業ならともかく、中小企業の規模だと変な悪評がたつと一発で会社が傾いたりするので、そういった経営者から少しずつ顧客を増やしていきました。口コミで広がり、月20%以上のペースでどんどん事業は拡大していきました」

逆SEOとは違うアプローチ

ブランドコントロールのサービスを一言でいうなら「ネガティブ情報を見えにくく、ポジティブ情報を見やすくすること」だと井原は言う。中でも「株価」「HR」「広告宣伝」の3つを守っているのだという。

「株価の40%以上はブランド価値でできているとも言われています。まずはこの会社のバリュエーションを毀損させないように守ります。大きい企業であれば1年足らずで1兆円ほど株価を損失することもあります。HRはいわば採用コスト。一人内定を辞退されたら、その損失は100万〜200万円とも言われます。最後の広告宣伝は会社が最も予算を掛ける項目ですが、その効率が10%でも落ちたら大変な損失になります。ファクトベースの情報をしっかり見えるようにすることで、この3つをしっかり守ることができるのです」

ブランドコントロールが着目している情報は「ネガ・ポジ情報ではなく、中立情報が鍵となる情報の関連性」だという。

「あるキーワードに対するネット上の情報は、中立情報が大半です。我々はこの中立情報の関連性を最適化することで、ファクトに基づかないネガティブ・フェイク情報を見えにくくし、逆にファクトベースの情報を見えやすくしています。逆SEOとはアプローチが全く違うのです」

Beyond AI(AIの超越)を目指し、右脳思考が得意な少数の精鋭がその発想力で最新の手法を創造し成果に繋げる。その手法の品質を劣化する事なく、より多くの顧客に広げるスケール部分をAIで補う。AIは使うが、主役はあくまでも「発想力」だ。

海外事業も積極的に進めており、現在は9カ国でサービスを展開。顧客には政府首脳や王族なども含まれているという。

社員の多くは「発想力に優れる元ゲーマー」。常識にとらわれない井原がどこまで上り詰めていくのだろうか。

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井原正隆(いはら・まさたか)◎1981年生まれ。米国カリフォルニア大(USC)医卒。在学中にモバイルゲーム会社を趣味のゲーム仲間と起業。大手ゲーム会社に売却後、2006年からはアクセンチュアに入社。ITコンサルティング業務に携わる。08年に独立し、ORM(オンライン・レピュテーション・マネジメント)会社を設立。13年ブランドコントロールを設立し、現職。

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Promoted by Brand Control / text by Ko Kinutani / photographs by Junji Hirose / edit by Tsuzumi Aoyama

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