米国で危険視されるTikTok、ロサンゼルスに監査部門を設立

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中国企業のバイトダンスが運営する動画SNSアプリTikTokが、ロサンゼルスに「トランスペアレンシー・センター」と呼ばれる拠点を開設し、外部の専門家にコンテンツの査察を任せる取り組みを始めようとしている。同社はこの試みを通じ、運営の透明性を高め、米国でのTikTokに対する懸念を払拭したい考えだ。

5月に開設予定のトランスペアレンシー・センターでは外部のモデレーターらが、コンテンツのチェックを手がけるという。現時点ではオペレーションの詳細は明かされていないが、TikTokはアプリのソースコードの開示も含め、個人データ保護やセキュリティ関連の施策についての透明性を高めていく方針だ。

TikTokのゼネラルマネージャーのVanessa Pappasは3月11日、公式ブログで「トランスペアレンシー・センターでは、外部のオブザーバーからのフィードバックを取り入れていく」と宣言した。「テクノロジー業界が急速な発展を遂げる中で、当社は外部からの意見を取り入れつつ、運営ポリシーを見直していくことが重要だと考えている」

TikTokの米国内でのアクティブユーザー数は昨年11月時点で2600万人を超えたとされ、米国政府は監視の目を強めている。連邦政府はTikTokが国家のセキュリティに与える影響を調査し、米軍の一部の部門では、国家から提供されたデバイスでこのアプリを使用することが禁止された。共和党議員からは、TikTokの全面使用禁止を求める声も出ている。

同社はこれらの懸念に応え、昨年12月に初の透明性レポートを公開し、CIOに米国の雇用統計をまとめる民間調査企業ADP社の元取締役を招き入れた。TikTokは米国民の個人データを中国政府と共有することはないと宣言した。

しかし、2017年に制定された中国の法律では、中国政府がTikTokの親会社のバイトダンス創業者の張一鳴(Zhang Yiming)に対し、諜報活動への協力を要請することが可能となっている。

編集=上田裕資

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