『無敗営業』の著者が教える うまく生きるために必要な「営業力」

Ngampol Thongsai / EyeEm / Getty Images


私がアルバイトで経験した「自分が提案する文脈と、顧客の課題や悩みの間にあるズレに気づくことが大事」という学びは、10年近く経って、25歳で初めての起業を経験したときにも、大いに役立ちました。

自分がいくら革新的な商品やサービスを売っているつもりでも、顧客の要望と噛み合わなければさっぱり売れないのです。そして、「顧客が悩んだり困ったりしている」ところにぴたっとはまるストーリーが描けると、実績やブランドがなくとも、一部上場の大手企業とでさえ、どんどん新規契約できるようになったのです。

要望のギャップを埋める営業力


通常、営業を行う側とされる側には、大きな情報ギャップが存在します。それがズレにつながるので、ギャップを埋めるためのコミュニケーションは顧客の理解や受注獲得に直結します。

営業をしていると、どうしても商品の特徴をアピールすることや、提案をさせてもらうことに目がいきがちです。しかし、そのようななかでも「顧客が本当は何を求めているのか」を知り、「自分が顧客を理解している」ことを伝えるという姿勢が欠かせないのです。

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出所:マクロミルパネル利用のインターネット調査 2017年11月 TORiX調べ

「相手の悩みや課題と一緒に向き合い、より良い未来を創っていく」「相手が動きたくなるようなコミュニケーションや働きかけができる」といったことは、時代や職種を問わず、あらゆる立場で求められてくるものです。

もはや、人生すべては営業だといっても過言ではないでしょう。

人生のあらゆるステージで、相手と自分のニーズを擦り合わせ、Win-Winの状態を自らの力で創り出していく。その際に、「人に喜んで動いてもらう」ことができれば、確実に人生は変わります。

最近では、シェアリングアプリの「ココナラ」やフリマアプリの「メルカリ」など、個人でも物を売り買いする機会が増えました。サイトを見ると、たくさんのレビューがついていて、そこで人気を集めている人は、出品情報のなかに「買いたい人が何に困っているか」を汲み取っています。ランキング上位に入っている人は、「営業力」が非常に高く、買い手との間にギャップを発生させないのです。

さて、人見知りの克服から始めた私の営業でしたが、結果が出ることで大きな自信につながり、人生を大きく変えました。いまでは一部上場企業を中心として、これまで3万人以上の営業パーソンに対して、コンサルティングや研修、講演を実施するようになりました。そして、私が担当したコンペは、8年間「無敗」の状態が続いています。

これからの連載では、拙著『無敗営業』(日経BP、2019年)をベースにしながら、「営業力」を伸ばすためのコツを紹介していきます。

文=高橋浩一

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