「個の時代」に、生きるチカラとしての“営業力”を

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「ノルマや上司が厳しい」「飲み会など付き合いが大変そう」「体育会系が多そう」など、どうも「営業」というものに対しては、昨今の「働き方改革」の流れに逆行するようなイメージが持たれているようです。しかし、こうしたイメージは「営業職」に関するものであり、「営業力」とは関係がありません。

いまでこそ営業で大きな成果を出せるようになった私ですが、幼稚園から高校生までは極度の人見知りでした。小学生のときは、クラスメートから話しかけられるだけで顔が真っ赤になってしまうので、あだなは「モモちゃん」でした。

そんな自分を変えたくて、高校1年生のときに出会ったのが、飛び込み営業の仕事でした。英会話学校の宣伝ポスターを、街中にある店に許可を得て貼らせてもらい、「1枚貼らせてもらえたらいくら」という、成果報酬型のアルバイトです。

学校で話しかけられて失敗したら大変ですが、営業で失敗しても隣のビルに行けばよいだけ。いくらでも話す練習ができる環境に、長年の悩みが和らいでゆく感覚すら覚えました。

しかし、成果はなかなか表れません。ポスターを店に貼ってもらうことが仕事だったのですが、断られる日々が続きました。そんなとき、ある店の店長から「いま貼ってあるポスターがあるんだけど、古くなって汚れたから貼り替えてくれないか」と言われました。

すでにポスターが貼ってある店はターゲット外だと思いこみ、まだ貼られていない店ばかりまわっていた私は、それからすぐに訪問する店を変更しました。そして、「ポスターを貼り替えませんか?」と聞くようにしたところ、成約率が飛躍的に上がりました。

この経験から、「営業は気づかないうちに顧客の要望とズレた行動をしがちで、そのズレに気づけば誰でも成果があがる」ということを学びました。

「個の時代」には欠かせない営業力


昨年7月、政府はフリーランスとして働く人の数を306万人から341万人程度とする推計を公表しました。本業がフリーランスの労働者が228万人、副業として働く人が112万人と推計しており、国内の就業者全体では約5%を占めます。 全体ではまだ少ないものの、在宅勤務の推進や人手不足の影響で、今後もフリーランスなど「個人の名前と腕を頼りに仕事をする人」は増加していくことが想定されます。

昭和は、戦前戦後ともに、まず国家があって個人が続きました。いまの時代は、あくまで個人の選択が先です。平成から令和にかけて、「個の時代」が加速度をつけて近づいてきていると感じています。

「個の時代」の個人は、仕事が集まる人と集まらない人に大きく分かれます。もちろん、その差は収入にも大きく影響するでしょう。仕事が集まる人として選ばれるために最も重要なのは「人に動いてもらう」ことです。そのためには、まず相手の話をしっかりと聞き、本来の要望からズレないように理解することが重要です。

さきほどの例では、「ポスターを貼らせてほしい」というこちらの要望だけを相手に伝えていても、けっして良い成果には結びつきませんでした。「汚れたポスターを新しくしたい」という顧客ニーズとズレに気づけたからこそ、成約率は上がったのです。

文=高橋浩一

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