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5Gで未来を創る


5Gはその名称からして、どうしても4Gの延長線上にある規格のように思ってしまいがちです。実際、4Gの技術的経験が活かされているので、そうした理解も間違いではありません。

しかし、5Gは技術要件もその社会的な展開(ディプロイメント)の方法も、4Gとはまったく異なります。非線形変化とさえ言えるほど「別モノ」になると、私は考えています。

5G時代に中心となる端末は、スマートフォンではなくセンサーだと思います。その最もわかりやすい先行事例は、北米で展開が進む「Amazon Go」でしょう。よく日本では「無人店舗」と紹介されていますが、実は、Amazon Goには何人かのスタッフが常時働いていて、無人という印象はそれほどありません。

そうではなくて、Amazon Goでいちばん特筆すべきは、店舗内に大量に設置されたセンサーが、店舗内で商品を手に取ったり、じっくり眺めたり、棚にまた戻したり、というあなたの行動のすべてを追いかけているということです。そう、前述した旅行準備の「じっくり読んだり、さっと読み飛ばしたり」と同じ状況を、センサーが観察しているのです。

なぜ、そんなことをするのか。それは、コンビニエンスストアでもECサイトでも、「なぜその商品を買ったのか」をより深く知るために必要な情報が、「なぜそれ以外の商品を買わなかったのか」だからです。

そうした「関心があったけれど買わなかった」「見向きもしなかった」といった情報をすべて再構成することが、店舗側の顧客理解につながるのです。それこそ店舗側は、顧客がどこで立ち止まり、どのように歩き回ったか、というところまで把握したいはずです。

5Gはそうした店舗内の顧客の動態を、常時かつリアルタイム、そしてより詳細に取得、分析、連携することを容易にします。Amazon GOがそうであるように、5Gがなくてもそうしたシステムはつくれますが、5Gを導入することによって、たとえば高精細カメラを簡単に使えたり、大量のセンサーを正確に接続や制御したりすることができます。

5Gが老人介護を進化させる


しかし、大事なのはそうした技術的特徴ではありません。センサーネットワークによって取得されたデータがカスタマージャーニー全体へと拡張し、サプライチェーンの最適化につながることが重要なのです。

そして、こうした顧客理解の深化は、さまざまな商売を、必要なものだけを提供する(不要なものは売らない)洗練されたサービスへと変貌させるのです。

それが、デジタルトランスフォーメーション(DX)による顧客の便益の最適化であり、5Gはそれを実現するための重要な技術基盤となるということです。さらに、こうした発想を「巨大なセンサーネットワークの空間」と敷衍(ふえん)すれば、5GによるDXシーンはあちこちに出現します。

文=クロサカ タツヤ

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