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5Gで未来を創る

サムネイルデザイン=高田尚弥

突然ですが、皆さんにとって「旅の始まり」とは、いつですか?

自宅を出たときでしょうか、目的地のホテルに着いたときでしょうか、あるいは出発地の空港という方もいらっしゃると思います。

私の場合は、休日の午後、ソファでだらしなく寝転がりながら、「どこに行こうか」とぼんやり考えている、その瞬間です。もう、そのときから私の旅は始まっています。

スマホを片手に、目的地の情報を集めてみたり、気が変わって別の目的地を調べたり。また、航空券やホテルの比較サイトなどを見ながら、予算を考えてあれこれ組み替えてみる。

そうした瞬間をものすごく楽しいと感じます。もしかすると、旅行そのものと同じくらい楽しいかもしれません。

その際、目的地をあらかじめ確定させて深掘りすることもあれば、そもそも目的地を選ぶのにあちこち見ることもあるでしょう。いずれの場合も、関連したサイトを何気なく眺めているはずです。

では、その「じっくり読んだり、さっと読み飛ばしたり」という濃淡を、どれくらい覚えているでしょうか。一瞬眺めてすぐ読み飛ばしたようなページや記事を、どれくらい覚えているでしょうか。

ほとんどの方は、思い出すことが困難なはずです。しかし、数多ある情報のなかから「じっくり読む」ところまでたどり着いているということは、その何倍もの「じっくり読まれなかった情報」があるはずです。そうして、飛ばされたり捨てられたりした結果だからこそ、「じっくり読む」ものにも価値が出てくるわけです。

こうした利用動態の詳細な分析を、エスノグラフィ(行動観察)といいます。昔からある、顧客理解を深めるためのアプローチで、コンビニエンスストアをはじめとした実空間の店舗では、以前からマーケティングの基礎とされてきた取り組みです。

そしていま、デジタルテクノロジーの発達によって、エスノグラフィの解析度が向上し、カスタマージャーニー(顧客の購買に至るまでの過程)という形で整理され、多くの詳細な推測がより簡単に実現可能になりました。

5Gを先取りしたAmazon Goの取組み


5Gの連載コラムを始めるにあたって、こんなまわりくどい話から始めたのは、2020年のCES(毎年1月ラスベガスで開かれる電子機器の見本市)で基調講演を務めた、デルタ航空のエド・バスティアンCEOの話が、まさにカスタマージャーニーの重要性を指摘しており、それこそが5Gのパラダイムを具現化していると思ったからです。

バスティアンCEOは基調講演で、「飛行機とは旅行のために乗るものであって、顧客にとって大事なのは旅行の体験だ」と指摘をしました。そのうえで、「たとえば、顧客が旅行のことを考えるとき、何を眺め、何に迷い、どう選んで、どう楽しんだのかを知ることが、航空会社の責任領域である飛行機内や空港内での体験価値を最大化させることにつながる」と話していました。

文=クロサカ タツヤ

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