民族の隔たりを超える。ミャンマーの人権活動家が見据える世界

ミャンマーの人権活動家 ウェイウェイ・ヌーさん


──ウェイウェイさんにとって、真の民主主義、多様性の尊重とはどのような状態でしょうか。

真の民主主義では、全ての意思決定に全ての人が関わることができ、等しく権利が与えられることが大切だと思います。また企業や団体が、社会や環境に対する責任を果たすこともとても重要だと考えています。

多様性を本当の意味で尊重した組織が発展しているという例を数多く見ます。例えば、ハーバード大学は教授の80%が外国人です。世界の国々を見ても、多様性が尊重されている国は、発展していると感じます。

──多様性が実現された組織や国には、強さがありますね。

ミャンマーは近年、民主化による経済発展が注目されていますが、135もの民族で構成されているうち、実はビルマ族が約70%で、残り約30%が他の民族で構成されていて、40を超える独自の言語が話されている国です。ナオライさんの取り組みでは、生物多様性を大切にしていますが、私は人間同士の調和も大事だと思っています。

これまではどのような社会的階層に生まれたかで人々の人生が決まり、特定の階層や人種の人が特定の人を支配していました。しかし、この地球に生まれた全ての人間は自由であり、基本的な尊厳があるはずです。

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──想像を絶する過去の体験を受け入れ、それを自信、強さ、原動力に変えて変革を行ってきたウェイウェイさんの言葉の1つ1つに素晴らしいエネルギーを感じました。

人間や社会のシステムが平和な社会を目指しているように、私も人生を楽しみたいし、お金が欲しい、買い物もしたいという思いは持っています。しかし、平和が構築されていない社会は持続的ではありません。

大きなものを守るためには、目先の利益を忘れる必要があります。夢や希望を持てない人が、将来的に大きな問題を起こすリスクを減らすためにも、私たちはこの活動を続けていきます。

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ウェイウェイ・ヌー(Wai Wai Nu)◎ミャンマーの人権活動家、Inclusive Futures Foundation創設者。「ミャンマーを変えたい」と社会起業家としてヤンゴンなどに教育施設ヤンゴン・ユース・リーダーシップセンターを設立。世界経済フォーラムによりヤング・グローバル・リーダーズに選出され、ダボス会議や国連などの国際会議にも登壇。ミャンマー国内では、トップダウン&ボトムアップ双方のアプローチで変革を進めている。

インタビュー=三宅紘一郎 校正=鈴木広大 写真=藤井さおり 同時通訳=古波津大地

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