組合員のためにどうしても成功させたい

荻野が印象に残るイベントの一つとして、福島の復興と農業の未来を考えるアイデアソンがあげられる 。福島県の関係者だけではなく、農家や起業家、技術者など多種多様の人たちがあつまり、知恵・アイデア・技術を集積し、社会課題の解決に取り組む。既存の解決策の導入のみならず、小さな種の段階にある技術やアイデアを探し、芽吹かせることこそが、いまの農業課題を解決する一つのAg Venture Labの求める姿で、農業イノベーションの未来をみたそうだ。
蟻の門人となるなかれ
荻野の座右の銘は、福沢諭吉の『学問のすゝめ』に書かれている「蟻の門人となるなかれ」という言葉だ。
「働きアリのようにただひたすら働くのではなく、世のため人のために貢献しようと社会のためにやっています」と笑顔で答える荻野。
入社してから約30年間スーツを着続けてきた荻野は、今ではアメリカのスタートアップの経営者のようにAgVenture LabのブランドロゴをつけたパーカーとTシャツで仕事をしている。
「最初ははずかしかったのですが、JAグループのなかでも稼いでる地域もあれば、苦しんでる地域もある。自分が広報宣伝することで、少しでも組合員のためになればと思って、使命を背負う気持ちで毎日同じ服をきています」。
荻野の魂が込められたAgVenture Lab

取材を終えてAgVenture Labとは、いまのJAグループの姿勢をあらわし、荻野の魂を表現した空間だと思った。たんなる箱物ではなく、人と人をつなげ、人を幸せにしていくという「結」の精神が込められている。だからこそ年間で1万人以上が集まるのだろう。
4番バッターだった野球少年は、農業の未来をに貢献するエースの使命を背負って、今日もブランドロゴをつけた服で活動を続けている。殺風景な高層ビルが並ぶ東京大手町の一角から、「苦しくて儲からない」農業から、「楽しくて稼げる」農業の時代がやってくる希望を感じた。


