知事は9日に行った記者会見で、ニューヨーク州が生産する手指消毒剤はアルコール濃度が75v/v%となっており、市場に出回っている類似の製品よりも高濃度であることから、より優れていると説明した。週当たりおよそ380キロリットルの生産を目指すという。
生産を手掛けるのは、ニューヨーク州更生監督局が運営する「コークラフト・プロダクツ(Corcraft Products)」。コークラフト・プロダクツは同州の刑務所に収監されている受刑者が「実質的な労働を通じて、優れた労働倫理と価値ある労働スキルを学ぶ」ことを支援するための組織だ。
クオモ知事によると、同州が販売する手指消毒剤は、“フローラルブーケの香り”。州内の学校と都市圏交通公社(MTA)、刑務所その他の施設に供給する。
知事はまた、消毒剤「ピュレル」のメーカーなどのほか、アマゾンをはじめとする電子商取引サイト、イーベイなどのオークションサイトが手指消毒剤の価格を釣り上げていると批判。状況に改善がみられなければ、コークラフト・プロダクツの製品を市場で販売する用意もあることを示唆した。
コークラフト・プロダクツの製品は、7オンス(約207ml)入りが1.12ドル(約118円)、1ガロン(約3.8l)入りのボトルが6.10ドル。知事はこれらの製品について、「市場で購入するより州で生産した方が、はるかにコストを抑えられる」と述べている。
手指消毒剤の供給は世界的に不足しており、メーカーは増産への対応に苦慮している。米国内の需要は2019年12月から今年1月にかけて、1400%増加したとも報じられている。病院から手指消毒剤を盗む人がいることも伝えられており、医療関係者らは病院に行く人たちに対し、患者に対応する医療従事者のため、そうした行為は慎んでほしいと訴えている。
また、手指消毒剤については新型コロナウイルスの急速な感染拡大と同様の速さで、誤った情報が広まっている。なかにはバクテリア(細菌)のみに有効であり、ウイルスには効果がないと誤解している人たちもいる。
米疾病対策センター(CDC)はせっけんと水でこまめに、しっかりと手を洗うこと勧めているが、洗えない場合には、アルコール濃度60%以上の手指消毒剤を使用することが有効だとしている。