ビジネス

2020.03.16

マッケンジー・ベゾス 全米富豪15位の「語らない女」

1996年の初頭、アマゾン本社にあった彼女のオフィスは、準社員のキッチンと兼用だった。彼らが電子レンジを回している傍で経理を処理し、夜になれば倉庫に商品を梱包しに行った。

アマゾン創業者ジェフ・ベゾスの元妻、マッケンジー(49)を取り巻くミステリーは、注意深く整えられていったようにも見える。アマゾン草創期以降姿を消し、さらに2019年1月に夫との別離が公けになり、7月にはアマゾン株式の4%、現在価値にして361億ドル(約3.5兆円)の資産とともに離婚を確定させ、それは彼女を全米富豪ランキング堂々15位に押し上げたのだが、以来一度もメディアのインタビューには応じていない。

マッケンジーは、ファイナンシャル・プランナーの父と主婦の母の元、サンフランシスコで育つ。プリンストン大学では英語を専攻し、ノーベル文学賞作家、トニ・モリソンが卒論指導をした。05年には小説『The Testing of Luther Albright』(ハーパーコリンズ社・未邦訳)でデビュー。

直近のことはさらに知られていない。18年には夫婦でホームレスをなくすための事業と非営利の保育園に20億ドルを投じ、離婚が報じられてからは彼女の資産の半分以上を慈善事業に寄付する「ギビング・プレッジ」にサインしたとされる。いずれにせよ、彼女はそのキャラクターに忠実に、自身の莫大な資産がどこへ行くのか、口を割ることはない。

text by Noah Kirsch photograph by Elena Seibert

この記事は 「Forbes JAPAN 2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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