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2020.03.21

持続可能性──小売業者とブランドが知っておくべき5つのこと

Victor Wong / shutterstock.com

持続可能性──買いものをするとき、毎日のように耳にする言葉だ。だが、そもそもこの言葉はどういう意味で、企業はそれについて何をするべきなのだろうか? 

コンファレンス・ボード(全米産業審議会)は最近、この疑問に関する、信頼に足る答えをいくつかまとめて発表した。64にのぼる市場の消費者3万人を対象とする世界規模の調査をふまえてのことだ。

以下では、なかでも特に重要なポイントを5つ紹介する。

1. 「持続可能性」という言葉が意味するもの


残念なことに、「持続可能性」という言葉の意味は、誰に質問するかによって変わってくる。というのも、世界のどの地域かによって、答えが違ってくるからだ。

・米国とカナダでは、もっとも重要な意味は「リサイクル可能」。
・アジアでは、「環境」を意味する。
・欧州、中東、アフリカでは、公正な価格を意味する。
・ラテンアメリカでは、代替エネルギーで製造された製品を意味する。

2. 持続可能性は、消費者にとって「鍵となる基準」ではないが、選択を左右することもある


調査対象になった消費者は、持続可能性があるからという理由だけで製品を買うことはないと答えている。その一方でこの調査では、価格、機能、性能、品質、利便性の条件にかなっているのなら、消費者は持続可能な製品を好むことがわかっている。つまり、そこに競争上の利点があるということだ。

3. 消費者側の混乱は大きい


公正な労働条件や慣行を守るブランドが消費者を失ってしまうのは、どのブランドがより公正なのかが、消費者にはわからないからだ。誰もが平等に評価される基準ができるまでは、第三者による認証が、問題解決の大きな助けになるかもしれない。信頼性の問題もある。第三者の認定がなければ、消費者は誰を信頼していいのかわからない。

4. 価格が障壁になる


消費者が持続可能な製品を買わない最大の理由は、なんといっても価格にある。炭素税や効率向上によって公平な競争の場ができるまでは、価格は引き続き、持続可能な製品の成長の妨げになるだろう。

5. 政治は役に立っていない


持続可能性の取り組みは政府主導で進めるべきなのに、政府にはそれができていない──世界中の消費者は、そんなふうに考えている。消費者の意見によれば、持続可能性を引っぱっているのは、以下の業界のリーダーだ。

・テクノロジー
・公益事業
・家電メーカー
・金融機関
・小売
・ホテル

世界全体で見ると、消費者の81%は、企業が環境の改善に協力することがきわめて重要、もしくはとても重要ととらえている。消費者の75%は、各社のCEOは、政府の動きを待つのではなく、良い変化を起こす取り組みを主導するべきだと考えている。また、70%を超える社員が、業界と政治の課題に対応するのはCEOの重要な仕事だと考えている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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