ビジネス

2020.03.10

ウィーワーク帝国崩壊でNYの子会社が解散、70人が再就職へ

Managed By Qの創業者で元CEOのDan Teran(Photo by Noam Galai/Getty Images for TechCrunch)

昨年9月にIPO計画を撤回し、資金繰りが悪化したコワーキングスペース企業の「ウィーワーク(WeWork)」は不採算部門の売却を進めている。その最新の事例の1社がニューヨーク本拠のオフィス管理プラットホーム「Managed by Q」だ。

Managed by Qは、75人以上を解雇しサンフランシスコのスタートアップEdenへの事業売却を進めている。同社は約30人の主要メンバーを残して、リストラに踏み切り、かつての競合であるEdenとの統合を進めている。

EdenはManaged by Qと同カテゴリの企業で、賃貸オフィスと中小企業のマッチングを手掛けている。Managed By Qの創業者で元CEOのDan Teranは3月9日のブログで、関係者らに感謝の言葉を述べ、他企業への転職を希望するメンバーの氏名や役職、スキルをまとめたエクセルシートを公開した。

フォーブスの取材に対しTeranは「素晴らしいチームを率いてこれたことを誇りに思う。元社員らには出来る限りのサポートをしていきたい」との声明を発表した。

IPO計画を撤回後のウィーワークは元CEOのアダム・ニューマンを経営から追放し、子会社の売却を進めている。既に売却済みの企業には、コンテンツマーケティング企業のコンダクター(Conductor)や、会議室予約のTeem、女性限定のコワーキングスペースのザ・ウイング(The Wing)、空き店舗をコワーキングスペースに変えるSpaciousなどがある。

ウィーワークはManaged By Qの売却に際し「当社はコアビジネスへの注力をさらに進めていく」と述べた。2014年に設立のManaged By Qは、累計1億2800万ドル(約1320億円)以上の資金を調達し、出資にはGV(元グーグルベンチャー)も参加していた。

ウィーワークは2019年に2億2000万ドルを支払い、Managed By Qを買収した。1億ドルは現金で支払ったが、残りは現在では価値が大幅に毀損したウィーワークの株式で支払っていた。Managed By Qの企業価値は、最盛期には2億4900万ドルに達していたが、今回の買収でEdenが支払う金額は、わずか2500万ドルという。

Teranは当初、自身でManaged By Qをウィーワークから買収しようと交渉を重ねたという。しかし、大株主のソフトバンクが送り込んだウィーワークの新CEOは、Edenへの売却を決めたという。

2016年に設立のEdenは、昨年11月に2500万ドルを調達していたが、Managed By Qの買収に向けて、先日新たに2900万ドルを不動産サービス企業JLLから調達した。

元社員の多くはスタートアップへの転職を希望


Managed By Qの元CEOのTeranは昨年10月にウィーワークを離れ、エンジェル投資家としてスタートアップの支援を行っている。Teranのブログによると、既に何人かのManaged By Qの元社員が新たなスタートアップを立ち上げている。解雇対象となった社員らに対し、彼はこれらのスタートアップに参加することや、起業家として新たな未来に向かうことを呼びかけた。

元社員らの多くは2度に渡る売却プロセスを経験した、経験豊富な人材ばかりだ。ニューヨークのスタートアップ業界で、これらの社員が今後活躍することが期待される。Teranが公開した元社員リストには78人の氏名とEメールアドレスが掲載されており、その多くが別のスタートアップへの転職を望んでいる。

編集=上田裕資

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