ビジネス

2020.03.13

スタートアップの評価額を上げる「プレミアム」とは何か

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1. プレミアムを説明しよう


バリュエーションを高くするためには、平均より高い理由、すなわちどういったプレミアムが乗っているかを説明しましょう。投資家は常に、証券市場の平均値と比較します。平均より何が優れているのか説明出来ないと「平均ですね」で片付けられてしまいます。腹落ち出来る説明がなければ、流動性の高い上場株を買った方がキャピタルゲインが望めるからです。

2. プレミアムは3種類ある


プレミアムとはなんぞや、と。平均より何が優れているとプレミアムと呼んで良いのでしょうか。未上場のスタートアップが上場企業と売上を比較しても簡単に勝てませんね。

投資家に対してスタートアップが使えるプレミアムはいくつかあると思うのですが、私のお気に入りを紹介します。

a) マーケットシェア1位

マーケットシェア1位です。業界ナンバー1なんです。これは圧倒的に強いですね。1位の会社にはプレミアム感が付いてきます。投資家殺しです。シェア1位の会社に投資する機会ってあまり巡ってきません。シェア1位を説明する上で、マーケットの定義、すなわちセグメンテーションについて学んでおくと良いでしょう。

弊社の戦っているマーケットは国内小売市場134兆円!って説明する起業家の方がたまーにいらっしゃいますが、こういう解像度が粗いプレゼンをすると投資家はシラーっとなって、プレゼンの最中でもFacebookやTwitterを開いて別のこと始めてしまいます。

いったいぜんたい、そのどデカイ市場でどのセグメントを狙っているんだい?ってプレゼンを聞いてる投資家は思いを巡らせます。ビューティー市場を見ても、女性/男性、年齢、基礎化粧品/メイクアップ、売り場(オンライン、オフラインチャネル)とセグメンテーション(細分化)が可能です。

市場が大きい時こそ、セグメンテーションをしっかりと行い、ターゲット顧客が誰なのかを明確にして、顕在市場規模を説明出来るようにしましょう。

どこかのセグメントで1位だと投資家は興奮します。

さらに、そのセグメントが業界全体で成長中だと投資家はもっと興奮しちゃいます。衰退市場で戦っている人は、市場が縮小していても気にしないこと。自社のシェアが市場縮小率を気にしないぐらい成長していることを説明できれば問題ないです。逆に、衰退市場で自社のシェアが横ばいだと、そのうちなくなっちゃうからマズいですね。

3年後、隣の顧客セグメントに参入します!(例:アパレルから消費財)というような起業家の話、投資家は眉唾で聞いています。実績が全て。実績や裏付けのない「将来、こうなります!」っていう話は投資家は「そうね。素晴らしいね」と言いながら聞き流しているのが本音です。

シェア1位の話長くなりすぎました(笑)ただ、私もソフトバンクグループの端くれとして仕事していて感じることですが、孫総帥はシェア1位が大好きだと思います。シェア1位と聞くと、身を乗り出して話を聞き入っているようなイメージがあります。

マーケットの捉え方、セグメンテーション、シェアをとにかく抑えに行く。

これ、テスト出ます。
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文=堀新一郎

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