キャリア・教育

2020.03.12 17:00

スクールカーストなんて関係ない。「SDGsなクッキングバトル」の勝者は?

Getty

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グレタ・トゥンベリさんが、次世代のリーダーとして世界中の若者から共感を集めている。こうした中、ようやく日本でもSDGs(持続可能な開発目標)が注目されるようになってきた。すでにご存知の方も多いと思うが、SDGsは2015年9月の国連サミットにより全会一致で採択され、2030年までに持続可能で多様性と包摂性のある「誰一人取り残さない」社会の実現のために定められた17の国際目標だ。

クックパッドでも、最も身近な営みである「食」に関わる立場を活かし、料理を通じてSDGsの目標をより楽しく、クリエイティブに解決できるのではないか?という思いから、その一環として教育分野とのコラボレーションを始動させた。

男子校を巻き込んだ料理イベントとは?

まず昨年11月には、静岡聖光学院と聖学院という2つの男子校と共同で、“SDGs Cooking Innovation Lab”を開催した。これはSDGsの5番目の「ジェンダー平等を実現しよう」という目標につながる取り組みとして、男子生徒にもっと料理を身近に感じてもらおうというイベントだ。

静岡聖光学院の畑でとれた新鮮な野菜を使い、レシピ無しで自由に料理をつくるという挑戦をした後、G7で最下位という日本の男女格差を改善し、より良い社会を実現するために自分たちができることは何かを考えてもらう。続くワークショップでは、料理とジェンダーを取り巻く世の中の現状を知り、「どうすれば男性が料理をしたくなる世界を作れるか」について話し合った。

そして新年明け早々、今度は豊島岡女子学園の高校生有志が自ら企画し、実現させた「フードロス」を考えるイベントをサポートした。フードロスは、SDGsの「飢餓をゼロに」や「人や国の不平等をなくそう」、「つくる責任つかう責任」といった複数の目標に関連するグローバルな社会課題で、最近日本のメディアでも取り上げられる機会が増えている。

実行メンバーの高校生たちと出会ったのは1年前、国際連合食糧農業機関(FAO)が作っている子ども向け教材の翻訳で、英語が苦手で四苦八苦していた私を手伝ってくれたのがきっかけだ。

今回は、家で余った食材でゴミを最小限に無駄なく、いかに美味しく料理できるかが勝負の鍵となるクリエイティブクッキングバトルを開催。さらにその後は、実行メンバーが中心となり「フードロスを減らすために、自分たちでできることは何か」を考え、アイデアを出し合った。

両方とも、キッチンのキャパシティの問題で参加人数が限られていたのだが、校内で募集の告知をしたらあっという間に埋まってしまい、豊島岡女子学園では、クッキングバトルに参加できないにもかかわらず、見学したいといって見に来てくれた子たちもいて、ワークショップに加わった。

私がこれまで見てきた若者たちによるSDGsのイベントは、前提として問題意識の高い人が集まり議論するものが中心となっている印象だった。だが今回は、ちょっと変わった料理体験が組み込まれていたせいか、「SDGsなんて知らないし、あまり興味がない」というタイプの子たちが、「クックパッドのキッチンで料理できるの? 何それ、面白そうじゃん!」というノリで飛びついてきた。

このイベントに共通していたのは、ワークショップで考える前にまずは一緒に料理をし、食べることから始めたという点だ。お互いに新しい一面を発見しリスペクトし合えたことで、その後のワークショップでも場が和んだ。
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文=小竹貴子 構成=加藤紀子

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