ジェイ・Zは、投資に不慣れなわけではない。ベンチャーキャピタル企業を正式に立ち上げる前から、ウーバー(Uber)やインポッシブル・フーズ(Impossible Foods)などにすでに投資を行なってきた。2011年にはウーバーのシリーズBラウンドに参加することができた。当時のウーバーは、調達前企業評価額(プレマネー)がまだ3億ドル。株式を公開したのは、それからずっとあとの2019年6月だった。
それにとどまらずジェイ・Zは、プライベートジェット予約サービス「ジェット・スマーター(JetSmarter)」や、ネイルサロンの「ジュレップ(Julep)」、 受刑者の社会復帰支援アプリ「プロミス(Promise)」などにも資金を投じてきている。
社名の由来はジェイ・Zが育った公営団地
多くの意味でMVPは、叶えるのがますます難しくなっているアメリカンドリームを象徴しており、ジェイ・Zは再び見えない壁を突き破ったかたちだ。
マーシー・ベンチャー・パートナーズという社名は、ブルックリンにある「マーシー・ハウス(Marcy House)」、つまりジェイ・Zが育った公営団地に敬意を表してつけられた。彼はせかせかと追われるような環境で育ったが、MVPも、創業からわずか7か月のあいだに、速いペースで次々と投資を行っている。