ビジネス

2020.03.13

ジェイ・Zのベンチャーキャピタル、支援資金8500万ドルを調達

ジェイ・Z(Photo by Kevork S. Djansezian / Getty Images)

「99 problems」という持ち歌のあるラッパーのジェイ・Zは、99個の問題を抱えているのかもしれない。ただし、新たに立ち上げたベンチャーキャピタルについては、多額の資金を調達しているので問題はなさそうだ。

2020年2月に公表された米証券取引委員会の申告書類によると、大物実業家でもあるジェイ・Zが2019年に共同創業したマーシー・ベンチャー・パートナーズ(Marcy Venture Partners:MVP)は、消費者向けビジネスを行うスタートアップを支援するために8500万ドルの資金を調達した。最初の支援に使われるその資金は、54の投資家から集められた。

背景


ヒップホップ界の大御所ジェイ・ZとともにMVPを共同創業したのは、レコードレーベル「ロック・ネイション(Roc Nation)」の元最高経営責任者(CEO)ジェイ・ブラウン(Jay Brown)と、ベテランのベンチャー投資家ラリー・マーカス(Larry Marcus)だ。

ビジネスニュースサイト「カルチャーバンクス(CultureBanx)」が報じたところによると、ジェイ・Zとジェイ・ブラウン、ラリー・マーカスの3人は共同で、勢いのあるビジネスを支援するためのファンドを創業。次の段階に進むために資金投入を必要としているビジネスを支援していく計画だ。

共同創業者は3人とも投資経験が豊富だ。マーカスは、ストリーミングサービスのパンドラ(Pandora)や、映像配信サービスのネットフリックスなど、すでに成功をおさめた企業を、創業まもないころにいち早く支援した投資家だ。

データベース・プラットフォーム「Crunchbase」のMVPに関するページには、以下のように書かれている。「MVPは、製品やサービス、メディア、テクノロジー全般の文化で共感を集める、革新的消費者ビジネスならびに大衆市場向けブランドを構築することに情熱を持っている」

文化に投資する


MVPが最初に投資したのは、フードテック企業「ハングリー・マーケットプレイス(Hungry Marketplace)」が800万ドルを調達した2019年4月のシリーズAラウンドだった。3人はこれまで、共同で計6社に出資。Crunchbaseによると、投資先には、民泊大手エアビーアンドビーのキャンプ版スタートアップ「ヒップキャンプ(Hipcamp)」が含まれている。

MVPはそのほかにも、3社の資金調達ラウンドをリードした。MVPが参加した直近の投資ラウンドは、2019年10月に行われた電動自転車「ホイールズ(Wheels)」の資金調達だった。

これまでのところ、MVP最大の投資先は、人気歌手リアーナのランジェリーブランド「サベージxフェンティ(Savage x Fenty)」だ。彼らがリードした資金調達ラウンドでは7000万ドルが集まった。サベージxフェンティの推定年商は、1億5000万ドル。つまりMVPはこれまで、賢明な初期投資を行ってきたというわけだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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