シカゴは、包括的な経済成長を実現するテック業界の中心地として、めきめきと実力をつけている。大物たちもそれに気づいており、セールスフォース(Salesforce)やグーグル、ウーバー(Uber)はいずれも2019年、シカゴへの投資拡充を発表した。
この成長の波は、シカゴにビジネスの基盤を築き、現在のようなテック都市へと生まれ変わらせた組織や起業家のたゆまぬ努力に支えられている。たとえばP33のような組織は、テクノロジーやイノベーションに関わる人々を、シカゴのテック・エコシステムと結びつける支援をおこなっている。
その勢いはとどまるところを知らない。
2020年に注目される最新の展開は、メリンダ・ゲイツ率いるピヴォタル・ヴェンチャーズ(Pivotal Ventures)によるものだ。同社は2月、今後5年間で5000万ドルをシカゴを含む3都市に投資すると発表した。目的は、テック業界への女性の参入を加速させることだ。
「Gender Equality in Tech (GET) 都市」と銘打ったこのイニシアチブは、テック業界における女性従業員・経営者たちの割合を増加させることを目標に掲げている。
ピヴォタル・ヴェンチャーズは、ブレイクスルー・テック(Break Through Tech)、セカンドミューズ(SecondMuse)およびP33のような地元シカゴの団体や、イリノイ大学シカゴ校との提携のもと、テック業界における女性の影響力を最大化させることをめざしている。
「GET都市」イニシアチブは、シカゴが取り組む労働力の安定化と多様化をめざす施策の中心要素のひとつでもある。
大手各社の動きや、ピヴォタル・ヴェンチャーズの投資計画は、シカゴが擁する豊富なアセットを証明するものだ。シカゴは、全米トップクラスの研究型大学3つを有する4都市のうちのひとつであり、コンピューターサイエンティストやエンジニアの学士号取得者がアメリカで3番目に多い。さらに、女性が経営するスタートアップ企業の比率は全米一で、34%にのぼる。
結論としてシカゴには、トップクラスのテック・エコシステムが発展する上で必要な条件が揃っている。さらにシカゴは、包括的な経済成長にフォーカスしている点において、ほかのテック都市と一線を画す。既存の取り組みとともに、ピヴォタル・ヴェンチャーズのような提携ステークホルダーによる投資は、シカゴのポテンシャルを実現するのに重要な役割を果たすだろう。