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2020.03.10 06:00

「ハリウッドの大物」に有罪判決、職場のセクハラはなくなるのか

Photo by Scott Heins/Getty Images

Photo by Scott Heins/Getty Images

ニューヨーク市刑事裁判所で2020年2月24日、メディア界の大物でハリウッドの元プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン(Harvey Weinstein)を被告とした裁判が行われた。

陪審員たちは同氏に対し、レイプと性的行為の強要という2つの重罪で有罪判決を下した。今回の判決は、職場で性的暴力ならびにセクハラ(性的嫌がらせ)を受けた被害者にとっての画期的な節目となる。検察側の陳述が、主に被害者の供述に基づいたものであり、法医学的ならびに物的な証拠がなかったためだ。

ワインスタインは、女性に対して搾取的な態度で接し、親密な関係を強要するために自らの高い地位を利用した。そうした行為は、職場という環境ではきわめて頻繁に目にするものだ。そして、#MeToo運動が終止符を打とうとしている行為でもある。

ワインスタイン側の弁護は、性犯罪者、とりわけ被害者に対して影響力を持つ立場の人間がよく用いる一般的な理屈にもとづいていた。つまり、両者の関係ならびに性的行為は合意の上だったというものだ。

弁護側は、被害者たちが暴行を受けた後も、加害者と友好的な関係を持ち続けたのは合意があったからだと申し立てた。起訴内容の性質と、何年も前に起こった出来事に関する被害者の供述を根拠にした告発であることから、裁判は事実上、被害者の信ぴょう性とワインスタインの信ぴょう性を争うものとなった。

これまでのケースでは、陪審員と世論が、加害者の信ぴょう性を認めるのが一般的だった。しかし、このたびの有罪判決と、#MeToo運動が巻き起こした変化の波を受けて、状況は変わり始めている。

職場でセクハラが起きると、被害者はしばしば、それを訴え出ると自分のキャリアが危うくなるのではないかという不安を抱く。そして、セクハラに耐えるか、報復措置として解雇されたり要注意人物に名を連ねたりする危険を冒すか、というジレンマに陥る羽目になる。

米雇用機会均等委員会(EEOC)によると、女性の40%以上が職場で何らかのセクハラを受けた経験を持つ。そうしたセクハラ行為の大半は、女性がすでに雇用されたあとに起きているが、まだ採用面接を受けている最中や、その業界で職を得ようとしている段階で始まる場合もある。ワインスタインのケースはこの後者であり、彼は被害者女性に、誘いに従わなければ映画界で成功できないのではないかと思わせていた。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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