世界で広がる新型コロナパニック。いま企業が行うべきリスクマネジメント

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否認、隠蔽とガバナンスの失敗


感染症への対応戦略は、問題を重く見るか軽く見るか、ぎりぎりのところまで企業の業務を続けるか早期の再開を目指すか、など多岐にわたっています。今回の、新型コロナウィルス流行の場合、経済的または政治的な不利益を避けようとして危険信号を見なかったことにしたり、隠蔽しようとしたりする傾向が多くの国で見られましたが、この方法は意図した効果をあげない可能性があります。

数千万人の労働者が隔離され、部品が不足している中国は、経済活動を何とか回復させようと奮闘しています。危機管理体制がより進んだ国は、感染拡大の速度を遅らせるべく健闘していますが、それでも政治的・経済的圧力から逃れられるわけではありません。

準備不足の当局が安定を維持または回復しようとするあまり、何の対策もとらないか、または度の超えた対策をとることにより、いかにガバナンスが失敗するかという事例を、今回の新型コロナウイルス流行を通して示しています。どちらも、市民や国家間の信頼と協力を損なうものです。集権的な管理対策は、ウイルスの拡散を阻止または遅らせるために必要で、個人や地域社会の対応能力不足を補ってくれるように見えますが、害を及ぼす可能性もあるのです。

都市やクルーズ船における大量検疫で封鎖状態に置かれた人たちは、白い目で見られることがあり、ストレス、不安、孤立感や、命や健康への危機を自分の力でコントロールできない感覚を体験することで、メンタルヘルス上のリスクも増加します。旅行禁止は、社会的・経済的・政治的な不利益をもたらすため、個人や政府機関が、情報共有や将来のアウトブレイクに関する情報公開をためらう可能性に繋がります。

脆弱な、または対応能力不足の医療制度は、感染の広がりを抑えて急増する治療ニーズに対応すべく懸命に努力していますが、それによって、対応に当たる機関や個人の能力と地位に対する信頼がさらに低下するという事態になっています。

パニックはパンデミックよりも早く拡大する


信頼をさらに困難にしているのが、ソーシャルメディアです。グローバルなプラットフォームは不確実性と偽情報を増幅させるため、パニックはパンデミックよりも早い速度で広がります。

発信者が誰であれ、恐怖をあおるようなデータ、逸話、推測など、感情的で直感的なコンテンツは急速に拡散され、専門家が提供する控えめで安心感を与える助言よりも多くの人たちに届きます。人間または自動化された荒らしが注意を引いたり、混乱を引き起こしたりしようとしていますが、それがなかったとしても、早期に出された情報や暫定的な情報、または文脈からかけ離れた情報をエスカレートさせたり、誤解したりすることによって、善意で行動した個人が世界中にパニックを広げることがあります。

こうした恐怖によって、自分たちを危険から守ってくれる政府の能力に対する、市民の信頼が揺らぎ、買い占めや偏見など、社会に悪影響を与える心理的な防衛手段が出現する可能性が増加してしまいます。
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文=Richard Smith-Bingham, Kavitha Hariharan

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