実際、マイクロソフトのビル・ゲイツ、アップルのスティーブ・ジョブズ、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグはいずれも、起業したときに20代だった。ではあなたは今、何歳だろう? 仕事を辞めて起業するには年を取り過ぎているだろうか?
40歳や50歳に達した自分は、起業家として成功するために必要な覇気や破壊的アイデアが欠けていると感じるだろうか? そうかもしれない。ただそうだとしても、それは年齢とは関係ないだろう。私は、さまざまな年齢の起業家を指導する身として(指導相手の最年少は20歳で、最高齢は66歳だ)、若さ自体が起業成功の秘訣(ひけつ)だという考えは間違っていると常に伝えてきた。この見解はこれまでただの直感でしかなかったが、このたびそれを裏付ける調査結果が、ハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)誌に発表された。
マサチューセッツ工科大学(MIT)とノースウェスタン大学の教授らが米国勢調査局の首席エコノミストと実施したこの調査では、消費者向けハイテク業界でさえも、創業者の平均年齢は40代前半であることが分かった。石油・ガス業界やバイオ技術業界など他の業界では、平均年齢は47歳に近い。
特に大きな成功を収めたスタートアップを見ると、創業者の起業時の平均年齢は低くなるどころか上がっている。起業家のパフォーマンスは年齢とともに急上昇し、50代後半でピークを迎えることが示された。
その要因は、年長者の方が資金面で優位にあることと、深い社会的つながりを持っていることかもしれない。また、職務経験も確実に重要な役割を果たしている。研究チームは「関連経験を持たない起業家と比べると、自身のスタートアップと同じ狭い業界で少なくとも3年の勤務経験がある起業家は、大成功を収めるスタートアップを起業する確率が85%高い」と指摘している。
それではなぜ、人は年配の起業家、あるいは年配者全般に対し偏見があるのだろう?