ビジネス

2020.03.14

「起業には若さが必要」は間違い 中年で成功した人々

ネットフリックスの創業者 リード・ヘイスティングス(Photo by Ethan Miller / Getty Images)


私はコーチ業を通じて、人が自分自身や他人について考えるときにはほぼ常に20年前の自分の視点で考える傾向があることに気付いた。45歳の人は25歳の自分を基準に判断し、自分は疲れていて盛りを超えてしまったと考える。65歳の人は、45歳のときに自分が65歳で引退するだろうと考えていたことから、自分はもう引退すべきだと考える。

人の考え方は10代や20代前半に形成されることからも、この問題はさらに悪化する。当時は祖父母が50~60代で、40歳を過ぎた人は非常に年老いて見えたものだ。

この理由から、過去ではなく将来の自分を見つめ、20年後の視点から自分自身と対話することがとても役に立つ。45歳の人は、65歳の自分から、現在自分が持っているエネルギーや熱意を無駄にしないよう促されるだろう。65歳の人は、85歳の自分からさらに大きな励ましをもらえるはずだ。

私はよく顧客に対し、自分と同じかそれ以上の年齢で起業して大成功を収めた人をロールモデルとするよう促している。例えばマクドナルドやコカコーラ、ケンタッキーフライドチキンの創業者は、創業時には全員が50歳を超えていた。

ジャーナリストからデザイナーに転身したベラ・ウォンは、39歳まで仕事として服のデザインをしたことがなかった。またネットフリックス創業者のリード・ヘイスティングスがDVDのレンタル業を始めたのは37歳のときで、ストリーミング事業を始めたのは47歳になってからだ。

ジム・ブーテンシェーンはIT業界を引退し、65歳のときにキャリア・アカデミー・オブ・ヘアデザインを起業して大成功を収めた。

また、キャロル・ガードナーは、離婚したばかりだった52歳の時、セラピストの提案で犬を飼い始めた。ゼルダと名付けた犬を自分で撮影した写真は、地元のクリスマスカードコンテストで優勝。ガードナーはそれにインスピレーションを得て、グリーティングカード企業を立ち上げ、愛犬にちなんでゼルダ・ウィズダムと命名。ガードナーが72歳となった今、同社は5000万ドル(約54億円)の売り上げを出しており、彼女は他のベンチャーも立ち上げている。

より身近な存在にロールモデルが見つかることもある。私の場合は、亡き祖父のアーウィン・ブルーメンフェルドだ。祖父はナチスの手を逃れ、47歳のときにスーツケース1つでニューヨークにやってきた。それまでプロの写真家として生計を立てたことはなかったが、ヴォーグ誌の表紙を誰よりも多く手掛けた人物となり、一時は世界で最も稼ぐ写真家になった。

HBR誌は「2人の起業家がいて、それぞれの年齢しか分からないとしたら、年配の方に賭ける方が平均的には良い結果となるだろう」と述べている。

編集=遠藤宗生

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