シートは座り心地のいい素材を使っているが、ステアリングが低く設定されているため、第一印象は多少の圧迫感を感じる。でも、運転してみるとそれほど気にはならない。やはり、これだけコックピットのレイアウトを変えると、少し慣れが必要だろう。
特筆すべきはセンターコンソールだ。ピアノの鍵盤からインスピレーションを受けたようなセンタースイッチは触り心地もよく、まるで美術品のよう。そのほか、室内で採用している本革とアルカンタラのシートはクロスチェックデザインが素敵で、そのステッチの仕上げも粋。インパネやドアのトリム、センターコンソールのエッジなど、乗員が触れるところはすべて柔らかい素材が付いている。
確かにミニバンやSUVに乗りたがる人は増えているけれど、508のようなワゴンを忘れてはならないと思う。機能性ももちろん大事だが、やはり頭に入れておいて欲しいのは、「ファン・トゥ・ドライブ」、つまり運転の楽しさだ。
一般のSUVやミニバンにないようなデザインの美しさ、フランス独特の感性を思う存分楽しみたい人は、この色気たっぷりの上質なワゴンを試してみて欲しい。517万円はリーズナブル。世界が変わるかもしれない。
国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>