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2020.03.08

ポーカーの名手はファンドマネージャーとしても優秀

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「勝者の呪い」が発生する例も


しかし皮肉なことに、主要なポーカーの大会で圧勝したからといって、その後のファンドの運用成績が向上するかというと、そうとも言えないようだ。この場合の運用成績は、ポーカーよりもむしろファンドへの資金の流れに左右されていると研究チームは指摘する。

「ワールドシリーズオブポーカー(WSOP)」など、テレビで放映される著名な大会で好成績を上げると、そのファンドマネージャーが運用するヘッジファンドに、さらなる資金が流入することがある。

しかしファンドには、規模が大きくなると運用成績の維持が難しくなるという傾向がある。ゆえに、ポーカー大会で好成績をあげたファンドマネージャーがその後も変わらずに優秀だったとしても、ファンドの規模が大きくなったために、以前ほどの実績があげられなくなる場合がある。この場合ファンドは、過去のより小規模だった時期に有効だった投資戦略を改める必要に迫られるかもしれない。

さらに分析結果を見ると、ポーカーの大きな大会で好成績を収めたヘッジファンドのマネージャーは、一部のリスク要因を回避した安全第一の方針で、ベンチマークと同程度の成績をあげるように、ポートフォリオの運用方法を変えるケースもあるようだ。最後に、著名なポーカーの大会で好成績を上げること自体が、ヘッジファンドのマネージャーにとってはファンドの運営に割く時間が減るため、本業の邪魔になっている可能性も考えられる。

というわけで、投資スキルの向上を目指すなら、「ポーカーをもっとプレイする」という予想外の方法で、スキルを養うことができるかもしれない。逆に、ポーカーの腕が良いということは、その人が能力の高い投資家であることを示す指標とも考えられる。

どちらにせよ、ポーカーをしない人でも、このゲームから学ぶことはできる。辛抱強さを持つ一方で、損を出しているポジションを延々と保有し続けない、という鉄則を胸に刻んでおこう。こうしたスキルは、投資を含む人生の多くの場面で有用なはずだからだ。

翻訳=長谷睦/ガリレオ

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