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2020.03.08

ポーカーの名手はファンドマネージャーとしても優秀

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ポーカーと投資の才能には、関連があるのではないか──以前から多くの人が抱いていた臆測を裏付ける研究結果が、このたび発表された。

ポーカーの大会で賞金を手にしたヘッジファンドのマネージャーは、賞金を得ていないファンドマネージャーと比べて、投資の運用利回りにおいて1年あたり約1~5%上回る成績をあげていた。これはヤン・ルー(Yan Lu)、サンドラ・モータル(Sandra Mortal)、スガタ・レイ(Sugata Ray)の3氏による研究で明らかになったものだ。

さらに、これらのヘッジファンドのマネージャーの中でも、ポーカーの大会での順位が上、あるいは、より大規模な大会で優勝し、賞金額がより多額だった者は、投資の利回りにおいてもさらに優秀な実績を上げる傾向があることがわかった。

この研究は、個別の事例に基づく裏付けに乏しいデータではない。ポーカーの大会で好成績をあげたヘッジファンドのマネージャーは220人に達しており、意味のあるデータセットと呼べるだけの規模を有している。

ポーカーと投資の共通点は?


今回の研究チームは、投資とポーカー成績の関連性について、考えられる複数の要因を挙げている。ポーカーにおいて有効な特定のスキルは、投資にも応用可能と考えられる。その1つが辛抱強さだ。これは、ポートフォリオの回転率(ターンオーバー)で測定できる。ポーカーで好成績を上げたヘッジファンドのマネージャーは、ポートフォリオのポジションにおいて、保有期間が長い傾向があることが判明した。

一方で、ディスポジション効果を避けるスキルも有効だ。ディスポジション効果にとらわれると、損を出している投資商品をいつまでも保有し続ける一方で、価格が上昇した商品を早急に売り払ってしまいがちになる。ポーカーの得意な投資家は、こうした行動に走ることが少ない。

加えて、人の心理を読む能力も、ポーカーと投資の両方で有用と考えられる。さらに研究チームによれば、ファンダメンタルズに着目して株を選ぶタイプの投資家では、定量的なアプローチのみを採用する投資家に比べて、ポーカーの腕前との関連性が高いことも判明したという。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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