「変化は一晩では起こらない」なぜ日本は他国よりジェンダーギャップ解消が遅いのか

世界経済フォーラム日本代表 江田麻季子


──女性ということを意識して、キャリアを選択してきたわけではないということでしょうか。

私が就職したのは、性別や年齢での差別があった時代。日本の会社においてたくさんチャンスをもらえるイメージは、ありませんでした。

ひょっとしたら外的な環境の中で、そう感じていたのかもしれません。結果的には「女性の働き方」を開拓してきたように見えるかもしれませんが、女性だからというより個人としてプロの仕事をしたかったですし、経済的な自立がしたいという思いが強く、色々やってきました。「女性だからこうしなくてはいけない」と思ったわけではありません。

生まれてから様々な勉強して、人として経験を積む事を考えると、性別が唯一の特徴として見られてしまうと、やはりきついですよね。

勉強して見識をもっているにも関わらず、「女性がこの役職に一人必要だから入って」と言われるのも、違うかなと思います。より多くの女性、あるいはメインストリームではない立場の人が、生まれもつ特性だけで判断されない世界を作らなければいけないと思います。性別などを気にせずに思い切って仕事ができて、生きていける環境にしなくてはいけないですね。

──江田さんが尊敬する女性はどんな方ですか。

男女関係なく尊敬する人はいますが、1人には絞っていません。どちらかというと、自分の至らないところを日々感じながら、人からこういう点を学ぼうという感じです。

なによりも「人間らしくありたい」と思います。家庭人としても、社会人としてもバランスが取れている人は素敵です。なおかつ、嘘のない情熱がある人には惹かれます。

グローバル企業のトップや国家主席の方も、ピア(同僚、同級生、仲間など)からのアドバイスや視点は役に立つとおっしゃる。私もそう思います。自分で気づかないことが山ほどあっても、常に気づきがないといけない。いつまでも「アドバイスをあげたい」と思ってもらえるような人間でありたいですね。

世界経済フォーラム日本代表 江田麻季子

──最後に、新卒一括採用システムなどの日本の就活事情も、変化しつつあります。若者、特に若い女性へのメッセージをお願いします。

好きなことを仕事にすることが一番幸せだと思います。機会がたくさんあるので迷ったり、周りからのプレッシャーもあるかと思いますが、長期的に将来を見据えて、自身の情熱が仕事になるようなことを選ぶことをお勧めします。

女性の場合はキャリアプランを考えるときに、産休や育休などのプレッシャーを感じることもあるかと思いますが、そういうことに悩まされなくてもいい環境にしていかなければいけないと思っています。世の中は変わります。将来は今と同じではなく、働きやすくなっていくでしょう。あまり慎重になり過ぎずに道を選んでいただきたいです。


えだ・まきこ◎早稲田大学卒業後、米国のアーカンソー州立大学で社会学の修士号を取得。2000年よりインテルに入社。2010から13年まで、インテル アジアパシフィック地域のマーケティングディレクター。13年から18年3月までインテル代表取締役社長。18年4月、世界経済フォーラム日本代表に就任。

世界経済フォーラムの連載「世界が直面する課題の解決方法」はこちら

文=督あかり 写真=平山尚人

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