コーヒー定額サービスが始まれば、ロイヤルティプログラムの加入者は増加する、とパネラは見込んでいる。同社のロイヤルティプログラム自体、言及する価値のある快挙だ。パネラのロイヤルティプログラムは、加入者数が3800万人に上っている。それに対して、スターバックスの同種プログラム「Starbucks Rewards」のアメリカにおける加入者数は1700万人。ピザ宅配大手「ドミノ・ピザ」の場合はおよそ2000万人となっている。
パネラのフードポリシーとウェルネス担当上級副社長サラ・バーネット(Sara Burnett)は、「この定額サービスは、ロイヤルティの未来だと考えている」と話す。「従来のロイヤルティモデルを補強するためのものであり、ロイヤルティメンバーに真の価値をもたらすために何をすべきかを問いかけるものだ。私たちはそのために、ほかにはない利便性に優れたサービスを提供している」
パネラはまた、激化する一方であるブレックファースト戦争に勝つことを目指している。「朝食を求める消費者たち」を奪い合うこの戦いには、新たにハンバーガーチェーン「ウェンディーズ(Wendy’s)」が参入する予定だ。パネラは、増え続ける朝食客にアピールするべく、2019年にメニューを見直したばかりであり、その一環として、コーヒー用プラットフォームもアップグレードしている。
こうした目標はどれも、容易に達成できるものではない。アメリカのコーヒー市場は、2024年までに年平均成長率(CAGR)にして8.1%の伸びを見せると考えられている。コーヒー市場の企業の多くは、この成長トレンドに乗ろうと力を入れている。
その動きは、企業による最近の業績発表を見れば明らかだ。スターバックス、ダンキンドーナツ、カナダのドーナツチェーン「ティム・ホートンズ(Tim Hortons)」はすべて、コーヒー分野で主導権を握るために設備投資を強化すると説明している。
そうした状況でもパネラは、定額サービスのテスト結果から強い自信を得ており、大きく優位に立っていると確信している。
「今回の定額サービスによって、パネラが提供するフードについての認識が広まると確信している。それこそが私たちの望みだ。パネラのフードは、他社にない特徴があるからだ」とチャウダリーは言う。「私たちの提案にはきわめて強い説得力があるため、私たちは勝てると思う。消費者は、飲食したいものを健康のために諦める必要もないし、便利さを優先して質を落とす必要もない、と私たちは考えている」
パネラのコーヒー定額サービスは、2020年2月27日から同社ウェブサイトならびにモバイルアプリで申し込みが始まっている。3月2日以降は、店頭にある端末でも加入可能だ。