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2020.03.09

米ベーカリーチェーン、定額制導入で挑むブレックファースト戦争

Deutschlandreform / Shutterstock.com


テスト期間中には次のような洞察が得られた。

・パネラへの来店頻度は200%以上も上昇。この劇的な増加は、既存顧客と新規顧客の双方で起きた。

・定額サービスの利用客の大半が、コーヒーとともにフードを購入している。テスト期間中、フードの追加購入率は70%増加した。

・定額サービスの毎月の更新率は、90%から95%だった。

「テストでは、定額サービスにきわめて大きな利点があることを実感した。このサービス導入に伴う経済的な全ての側面について大変満足している」とチャウダリーは述べる。「とくに満足できたのは、広告宣伝を一切行わないなかで結果が得られたことだ」

飲食業界におけるサブスクリプションプログラムは、新しいものではない。多くの飲食店が定額サービスを試験的に導入しているのには理由がある。過去5年を通じ、サブスクリプションの電子商取引市場は一貫して年間100%以上の成長を遂げてきた。それが、KFC(ケンタッキーフライドチキン)が「チキンウィング定額宅配サービス」でとてつもない成功を収めた理由だろう。

KFCは2019年10月、定額75ドルで総額400ドル分のチキンウィングを10週間自宅に届けるサービスを期間限定で提供。そのチケットは、発売開始から2時間以内で売り切れた。

コーヒーの定額サービスも、厳密に言えば新しいものではない。バーガーキング(Burger King)は2019年3月、独自にコーヒー定額制を導入している。月額5ドルでホットコーヒーが1日1杯飲めるサービスだ。

チャウダリーに言わせれば、パネラのコーヒー定額サービスは、バーガーキングのコーヒー定額制と同じではない。なぜならパネラの場合、利用者が注文できるコーヒーや紅茶の数、サイズ、時間帯、チャネルに一切制限がないからだ。

「パネラの場合は本当に無制限だ。私たちが他社よりもこのサービスをうまく導入できるのは、他に類を見ない強固なデジタルエコシステムを持っているからだ」とチャウダリーは話す。

「そうしたエコシステムがなければ、この手のサービスを実現するのは事実上不可能だ。パネラは、ロイヤルティプログラム『MyPanera』に3800万人の加入者を擁しているほか、イートイン、テイクアウト、アプリで事前注文が可能な『Rapid Pickup』、ドライブスルー、デリバリー、ケータリングを含む充実したオムニチャネルを有している。それらはすべて、テクノロジーに対応した強力なチャネルだ。こうした優れた実績があるからこそ、大規模なかたちでフリクションレスにコーヒーを提供できる。それができる競合他社はほかにはない」
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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