経済・社会

2020.03.06 12:00

トランプ大統領の有害無益なFRB干渉

Photo by Drew Angerer/Getty Images

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米連邦準備制度理事会(FRB)は3日、「新型コロナウイルスが経済活動にリスクをもたらしている」として0.5%幅の緊急利下げに踏み切り、市場を驚かせた。米大統領のドナルド・トランプは自ら選んだFRB議長のジェローム・パウエルに引き続き圧力をかけているが、これは不適切などころか、むしろFRBに仕事をやりにくくさせ、長期的な信頼も損なってしまっている。

トランプは、ドイツや日本はマイナス金利にしているのに、なぜ米国はそうしないのかと執拗に主張している。3日もツイッターで「いつものように、パウエルとFRBは行動が遅い。ドイツなどは経済にマネーを注ぎ込んでいる。ほかの中央銀行ははるかに積極的だ」と批判。米国の金利はあらゆる正当な理由からして最低であるべきだ」と訴えた。

だが、こうした考えは、そもそも見当外れである。例えばマイナス金利は、強さよりもむしろ弱さの表れとみることができるからだ。それだけでなく、トランプの要求は、FRBの公的な立場や金融市場での立場をさらに難しくしてしまっている。

「ビジネスマン大統領」が金融政策や経済の仕組みに無理解で、FRBのような重要な組織を泥沼に引きずり込むのもいとわないというのは、たいへん残念なことだ。

トランプの主張はいくつものレベルで間違っているので、細かく分けて論じるのは難しい。ただ、ひとつ確実に言えるのは、大統領による干渉はFRBの長期的な信用を、国内でも世界でもひどく傷つけてしまうということだ。

FRBによる今回の大胆な措置の発表直後にも、トランプはツイッターで早速注文をつけている。

「FRBは利下げすることにしたが、もっと緩和しなくてはいけない。最も重要なのは、ほかの国々、競争相手と対等な状態にすることだ。われわれは公平な条件で戦っていない。米国にとってフェアではない。そろそろFRBが率先して行動すべきだ。もっと緩和と利下げを!」

編集=江戸伸禎

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