ビジネス

2020.03.06

「タブー」が市場を創り出す フェムテックの目指す未来

杉本亜美奈と中村寛子

少しずつ注目を浴びはじめている Femtech (フェムテック) という言葉をご存知だろうか。Female + Technology の造語で、女性の健康課題を解決する為に開発された、ソフトウェア、診断キット、サービス、およびその他プロダクトを指す。

日経アジアンレビューで「アジアのリーダー11人」のひとりに選ばれた杉本亜美奈。共同創業者の中村寛子とともに起業し、世界中のフェムテック起業家と手を組み、「タブー」とされてきた市場を日本で広めている。そんな彼女が語る、フェムテックとの出会い、そして日本での可能性とは━━。



フェムテック製品との出会い


私とフェムテックとの出会いは2018年。幼い頃からアフリカ・ヨーロッパで自由奔放に育った私は、帰国した日本で「女性にとって生きづらい社会」と直面し、苦しんでいました。

古くからの価値観に反発しキャリアに邁進したい気持ちと、「いつか結婚や出産ができるのだろうか」といった漠然とした将来への不安。相反する感情の中で自分らしさの喪失を感じながら、悶々と過ごす日々を送っていました。

そんな頃に出会ったのが、Modern Fertility というアメリカのフェムテック製品。自宅で簡単に卵巣年齢をチェックできるキットです。病院に行かず、誰にも知られず、自分だけで自分の体を知ることができる。それを元に、人生の進路を決めることができる。女性にとって、これ以上ないエンパワメントだと思いました。

失いかけていた自信を急に取り戻したような、そんな感覚に打たれた私は、「女性一人ひとりが自分の体の一番の理解者となる」社会をつくるため、2019年にfermata株式会社を起業しました。
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文・写真=杉本亜美奈

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