とにかく機械式という時代は終わった──3人のジャーナリストが時計を語る

福留亮司(左)、本間恵子(中央)、篠田哲生(右)


本間:エコとかエシカルって中国人にまったく反応されないので、悩んでるみたいですよ。これをすることで高くなるんだったら、つまんないって思われる。

福留:でもこれはジュエリーも含めて全部やるって宣言してるでしょ。

本間:そう社長が言っちゃってます。でも現場の担当者はこういうの全然理解しないんだよ、って。

福留:フェアマインド認証のゴールドは少ないので大変ですよね。

本間:割高です。ただでさえゴールドは高いのに。

篠田:ショパールがフェアマインド認証のゴールドの75%を買ってるんです。それでも限定で250本くらい。ホントに少ない。

福留:レディスはどうですか?

篠田:今年はレディスのほうがよかったような気がします。ブレゲ「マリーン レディ 9517」の文字盤は素敵でしたね。

本間:もやもや文字盤とか、波のギョーシェのモデルとか、こだわりが感じられました。やっぱり女性はデザインで選ぶので、手に乗せた感じとか、ブレスレットのよさとか、文字盤のよさとか、そこが決め手なんです。そこに力を入れると時計が高く見えるので。「マリーン レディ 9517」は、ビジネスでも、平日でも、リゾートでも付けられるし、防水性も高いし、いろんなシーンで付けられるのが女性にはよかろう、ということで。

篠田:新しいダイヤル表現が出てきたな、と思いましたね。

本間:今年は頑張りました。そして、シャネル。ここは「J12」と迷ったんですが、「プルミエール ヴェルヴェット」の小ちゃさがいいんです。日本人にはこういうサイズがかわいくていい。こういうのをパッとつくれるのが、ファッションブランドのいいところです。

福留:デザイン力はさすがに、こういったブランドのほうがあるよね。

本間:あとオーデマ ピゲの針1本の「ミレネリー・フロステッドゴールド・フィロソフィーク」は、自慢できるかなと思って。これは針が変わった動きをするんですよ。

篠田:ぼくはワンハンドって好きなんですよ。無駄な感じがするんで。

本間:これはオッと言われる時計だな、と。フォーブスを読んでる女性がつける時計は、男性に勝てなきゃ駄目だと思う。これなら勝てるな、と。

篠田:なるほどね。フロステッドの入れ方もいいですしね。

本間:文字盤が、雪平鍋みたいになってて、それがまたキレイでした。

福留:ラウンド型にケースになったパテック フィリップの「Twenty〜」はどうですか?

本間:これのスノーセッティングのパベダイヤルがあって、それがめっちゃくちゃ細工がよかったので、ビックリしました。700万〜800万円くらいなので普通の人にはなかなか買えないと思うんだけど、手に乗せた感じとか、非常にバランスがよかったです。

福留:ぼくは「Twenty〜4」は四角いイメージなんで、いまだに違和感あるんですよ。あとはハリー・ウィンストンですね。

本間:「ウィンストン・カレイドスコープ・バイ・ハリー・ウィンストン」は、確か、価格は1,000万くらいです。これは立体感があってセッティングもいいです。ダイヤモンドは屈折率が高いんですけど、ちょっとずつ角度を変えてセットしているので、どの角度から光が入ってもキラキラしてる。特性をよく考えてます。
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text by Ryoji Fukutome

この記事は 「Forbes JAPAN 1月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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