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2020.03.06 10:00

とにかく機械式という時代は終わった──3人のジャーナリストが時計を語る

福留亮司(左)、本間恵子(中央)、篠田哲生(右)

福留亮司(左)、本間恵子(中央)、篠田哲生(右)

大型、複雑時計、ブルー文字盤などなど、それぞれの時代には傾向があったのだが、今年は果たしてどうなのか?スイスで取材をしてきた3人のジャーナリストが語り合った。

篠田:フォーブスなのでデータっぽい話をしましょうか。スイス時計協会の統計だと、2017-18年の輸出額は全世界で+6.3%なんです。日本は+9.1%。

本間:ということは、これにはアップルウォッチは入ってないんですね。

篠田:入ってません。スイス時計だけです。比較的時計は調子がいいということじゃないですか。でも勝ち組ブランドとそうじゃないところの差が激しくなっている。今後、その傾向は強くなるんじゃないですかね。

福留:今回は、今年の5本をそれぞれ出してもらいました。

本間:カルティエの「サントス-デュモン」は2人が選んでますね。

篠田:2人ともSMなんですよ。これも最近の顕著な例だと思うんですけど、クオーツでいいんじゃないか的な感じになってきている。いままで男性は、機械式時計が偉いという風潮でした。女性はそうじゃなかったです。もともとデザインや世界観を含めての腕時計で、中身がすべてではなかったんですが。

本間:そもそもクオーツは悪いものではないので、おかしな傾向ではないですよね。

篠田:むしろ、機械式時計を男性が神格化しすぎてたんじゃないかと。

福留:優先順位が、まず機械式になってた。健全になったのかもしれない。

篠田:あとゼニスの「エル・プリメロ」は50周年で、一番周年感がある。限定じゃないので、価格的にも納得できるかな、と。

福留:昔のデザインが、やはりよかったりするんですよね。

篠田:ホントに新しいのは、今年の新作ではオーデマ ピゲの「CODE11.59」くらいじゃないですか。いわゆる新作っていうのは。素材が変わったとか、サイズ、色の変更が大半ですから。

福留:昨年は、ボーム&メルシエの「ボーマティック」。これも引き続きいいですね。

篠田:あれで30万円台でいいの?っていうくらい、いいじゃないですか。

福留:同じ価格帯ではチューダーも売れてるんでしょ?

篠田:商品がないんですよ、いま。高い時計は売れてるから、ベル&ロスも含めて、ミドルレンジの時計が、今後どうなるのか、というのが気になるところです。これらよりも少し高いですが、ブライトリングの「プレミエ」も売れてるらしいですね。

福留:このモデルは、いままでのブライトリングとちょっと違う感じ。

篠田:飛行機とか男クサく趣味的なイメージのブライトリングですが、これはビジネスマンも視野に入ってる感じ。ブライトリングの人も、新しいお客さんは「プレミエ」が牽引しているって言ってましたね。

福留:同じ価格帯には、カール F.ブヘラの「ヘリテージ バイコンパックス アニュアル」があります。アニュアルカレンダーで90万円。よくないですか?

篠田:いいですね。クロノグラフも付いていて。

本間:それからショパールの「L.U.CXPS ツイストQF」とは、渋いところ行きましたね。

福留:これはフェアマインド認証のゴールドを使ってるんですよ。最近は、ファッションも含めてどのブランドもサスティナブルを謳ってるから、時計も頑張んなきゃって感じ。
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text by Ryoji Fukutome

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