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第二の命題では、リターンとボラティリティーを「長期」で考えることが特徴である。例えば、短期的にはタバコ会社や、石炭火力の会社のリターンは高いかもしれない。

しかしながら、タバコ会社や石炭火力会社は、長期的には訴訟リスクや突然の規制や課税のリスクを抱えている。短期的には業績がよく、リターンが高くても、長い目でみると、ある時点で、株価が暴落するリスクがある。

したがって、生命保険会社、年金基金や国家ファンド(SWF)のように長期的なリターンを考える投資をする機関が、ESGを重視するということには合理性があるように見える。これを実証できれば、命題の証明につながる。

第三の命題は、投資対象の企業を選択する手法としてのバリュー投資にESGのファクターを組み入れることでリターンが高まるという命題である。

通常のバリュー投資では、投資を決めるファクターとして、株価収益率(PER)や株価純資産倍率(PBR)などの企業情報をつかって、割安な株を拾い出す。これに、企業のESGへの取り組みを数値化してファクターとして取り入れれば、そのファクターが重要であれば、割安株の特定に役立つはずだ。

命題が証明される可能性は高い。このような割安株を割り出すファクターとしてESGを考慮にいれることは、ESGインテグレーションのひとつの方法である。

ここまで、ESGをひとくくりで議論してきたが、そもそも環境(E)、社会(S)、企業統治(G)の3つのカテゴリーは、まったく異なる性質のものである、と考えることもできる。環境に取り組む姿勢が強い企業でありながら、企業統治ではワンマン経営者がすべてを掌握して取締役会が形骸化しているようなこともあり得るだろう。このような場合にESG指数はどう判断するのだろうか。上に述べた議論や命題も、ESG指数ではなく、E、S、Gのそれぞれについて検証することもできる。

文=伊藤隆敏

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