自動運転に挑む各メーカーの「通信簿」から見えてきた現実

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カリフォルニア州の車両管理局(DMV)が先日、2019年の自動運転車の公道試験レポートを公表した。それによると、アルファベット傘下の「ウェイモ(Waymo)」が、ディスエンゲージメント指標(緊急対応のため、人間が自動運転車の操作を行うケースの発生頻度)で、過去最高の実績を記録した。

GM傘下の「クルーズ(Cruise)」も猛追しているが、通年ではウェイモの実績をわずかに下回った。ディスエンゲージメントだけで安全性を評価できるわけではないが、自動運転車の開発が進展していることは心強い。

ウェイモは、アリゾナ州フェニックスで無人配車サービスを展開しており、カリフォルニア州では2019年に145万マイル(約232万キロ)を走行した。DMVによると、これは自動運転企業の中で最も多く、ディスエンゲージメントの頻度は1万3219マイルに1回と、2018年の実績(1万1017マイルに1回)から改善したという。

一方、クルーズのテスト車両は昨年、サンフランシスコで83万1040マイルを無人走行し、ディスエンゲージメントは1万2221マイルに1回だった。しかし、下半期だけを見れば、2万110マイルに1回と大きく改善している。

中国のバイドゥ(百度)もカリフォルニア州で4台の自動運転車によるテストを実施しており、10万8300マイルを走行してディスエンゲージメントは6回だった。これは、1万8050マイルに1回の頻度だ。

各社の開発アプローチやテスト方法は異なるため、これらの実験結果を単純比較することはできない。しかし、自動運転技術の標準テストが存在しない中では、唯一公表されているディスエンゲージメントで比較するしか方法がないのが実情だ。そして、それに基づけば、自動運転技術は商業化に向けて前進を遂げている。

「ディスエンゲージメントは、口コミサイトのレストランの評価に似ている。便利だが、最も信頼できる指標ではない。クルーズは他社に比べて難易度の高い環境でテストをしており、ディスエンゲージメントを改善するために多大な努力をしたことは明らかだ」とガートナーで調査部長を務めるMike Ramseyは話す。

ウェイモは、シリコンバレーとベイエリア郊外、サンフランシスコのダウンタウンで公道テストを実施している。これに対し、クルーズは混雑した都市部でのテストに専念している。
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編集=上田裕資

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