自動運転に挑む各メーカーの「通信簿」から見えてきた現実

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GMのクルーズも実用化に向けて前進


昨年7月にクルーズのダン・アマンCEOは、無人配車サービスの開始時期が当初の目標の2019年末に間に合わないことを認めたが、サンフランシスコでのテスト距離を倍増させると宣言し、達成してみせた。

そして今年1月には、ロボットタクシー用に開発した、ハンドルもペダルもないEVシャトル「Origin」を披露した。同社は今月、カリフォルニア州で無人配車サービスを提供する許可を取得したが、現状では顧客から料金を徴収することはできないという。

「GMは、ウェイモと比較されることを重視しているからこそ、ディスエンゲージメントの改善に熱心に取り組んでいるのだろう」とRamseyは話す。

カリフォルニア州のDMVから自動運転車を公道で走行する許可を取得した企業は60社にのぼる。これらの企業の2019年度の実績をまとめたレポートによると、全社の走行距離は288万マイルに達し、ウェイモとクルーズだけでその79%を占めていた。

テスラも、イーロン・マスクの言う“完全自動運転”を実現した後に、無人配車サービスを提供する予定だ。

アップルもカリフォルニア州で数年前から自動運転車のテストを行っているが、事業プランを明らかにしていない。同社が昨年テストを行った距離は7544マイルで、ディスエンゲージメントは64回だった。これは、118マイルに1回の割合だ。

クルーズやウェイモの将来的なライバルと目されているサンフランシスコのスタートアップ「Zoox」は、昨年主に都市部で6万7000マイルをテスト走行し、ディスエンゲージメントの頻度は1600マイルに1回だった。

「これまで、ディスエンゲージメントは自動運転企業の成績表のような扱いを受けてきたが、これは正しくない。テスト走行した距離が長いほど成果が大きいように思えるが、必ずしもそうではない。長年の経験から、どのアプローチが本当に技術を進化させるものか見分けることができるようになった」と、グーグルの自動運転プロジェクトで責任者を務め、自動運転企業「オーロラ(Aurora)」を創業したクリス・アームソンは述べている。

オーロラでは、最先端のコンピュータシミュレーションを使い、公道を走行するよりも複雑なシナリオでテストすることに専念しているという。現在のテスト回数は、1日当たり73万5000回と、去年の100倍に達するという。

編集=上田裕資

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